山坂の多い生田駅北側に住む人の買い物や通院の移動を支える手段として、地元自治会などで構成する「生田山の手自治会内の交通問題推進協議会」は、相乗りで安価に利用できるタクシー「山の手号」の運行実験を3月25日(月)から始める。生田駅に乗場を構えるタクシー事業者「生田交通(株)」(栗谷/吉川和位社長)が運行する。

既存車両を活用

急坂が多い生田4〜8丁目を区域とする生田山の手自治会(林秀幸会長)では、高齢化が進む中で、バス路線などのない地域に交通手段を導入しようと2019年から継続して議論が交わされてきた。「巡回バスなどいろいろと検討した」と林会長。22年には生田交通と連携し、利用者の予約に応じて運行する「オンデマンド交通」の実証実験にこぎつけたものの、利用方法などが住民のニーズになじまず、結果に結びつかなかった。

「上り坂の負担を少しでも軽減できる方法を」と協議を続けた。加えて助成金などに頼らない持続可能な手段を検討したところ、既存のタクシー車両を活用し、初乗り料金区間で地域内の標高が高い地点までの片道を相乗りするという今回の方法にたどりついた。運行を担う生田交通の吉川社長は「車両や運転手など新たな投資の必要がなく、住民の方々の負担も少なくて済む。私たちは生田でしか営業していないので地元に協力できれば」と話す。市の担当者も「既存の輸送資源を最大限活用した取り組み。タクシーの待機時間や料金負担が減り、企業も損をしない三方良しの交通手段」と期待する。

片道3ルート

ルートは生田駅の生田交通乗場から、降車場所となる「土渕不動尊駐車場」「生田小プール前」「サニーヒルズ前」までの3区間。利用方法は、まず乗場で希望する降車場所が書かれた札を持って乗車待ちの列に並ぶ。札を持った人が先頭になった時に、後方で同じ降車場所の札を持っている人がいれば、1便で運転手を除く2人まで(未就学児は大人1人につき2人)まで相乗り乗車できる。料金は1人の場合500円、2人で相乗りすると250円ずつとなる。未就学児は無料。利用時間は午前8時から午後9時で、9月30日(月)まで毎日利用できる。

「皆さんにご利用いただければ」と林会長は話している。詳細は市交通政策室【電話】044・200・2034。