平塚市消防本部は、救急隊が搬送先の医療機関を選定する際に傷病者のマイナンバーカードを活用し、必要な情報を入手する実証事業を5月中旬から始める。

救急業務の迅速化に向けたシステム構築を進めることを目的に、消防庁が主管する事業。全国67消防本部・660隊で実施し、県内では全国でも最も早い時期に実施する平塚の8隊を皮切りに、川崎、横須賀、茅ヶ崎、逗子、秦野、厚木、伊勢原、葉山の消防本部が参加する。

実証事業は5月中旬から2カ月ほど行い、数急隊が出場する全ての事案が対象となる。健康保険証の利用登録がされた傷病者のマイナンバーカードから病歴や受診歴、服用中の薬などの情報を入手。適切な医療機関を即座に決定し、早期搬送など円滑な救急業務につなげる。

救急現場では、救急隊が傷病者に関する情報を本人や家族から口頭で聞き取っているが、容体によっては会話が難しかったり薬の種類を覚えていなかったりして、正確な情報を把握することが難しいケースも多かった。マイナンバーカードを活用することで、これらの情報を速やかに収集できるようになることが期待されるという。

交付率は78・5%

市によると、3月31日時点のマイナンバーカード交付率は約20万970枚で、人口の78・5%にあたる。健康保険証の紐づけをしている人の数は不明だが、全国の基準に当てはめると14万9200人ほどが利用登録を行っていると推計されるという。