民間有識者らでつくる「人口戦略会議」は4月24日、深刻な人口減少で将来的に消滅の可能性が高いと見なした「消滅可能性自治体」を公表した。2020〜50年で、出産の中心世代である20〜39歳の若年女性人口が50%以上減少するとの推計が根拠。全国で約4割に当たる744自治体、県内では三浦市と中井、山北、箱根、真鶴、湯河原町の1市5町が該当した。

10年前と比べ悪化

消滅可能性自治体の推計は、23年12月に発表された国立社会保障・人口問題研究所による「日本の地域別将来推計人口」を基に全1729自治体を試算した。その結果、別の民間団体「日本創成会議」が14年5月に同様の根拠で試算した896自治体より減少。前回該当した県内9市町村のうち、二宮、大井、松田町と清川村は改善したが、三浦市は消滅可能性自治体から抜け出せないなど明暗が分かれた。

分析リストを詳しく見ると、三浦市の若年女性人口減少率は、前回比較で4・4%悪化。また、若年女性人口数は20年時点で3047人だったが、30年後には62・2%減の1151人になるとも想定された。

移住・定住促進に注力

今年3月には、人口4万人台を割り込んだ三浦市。吉田英男市長は「人口減少は深刻な状況で、改めて消滅可能性自治体に分類されたことで危機感を新たにした」と先の結果を受け止めた。

三浦市はこれまで、小児医療費の助成対象を18歳まで引き上げるなど少子化対策や子育て世帯の支援に力を注いできた。さらに来月には、三浦海岸駅前に子育て賃貸住宅(愛称・チェルSeaみうら)を供用開始するほか、移住・定住促進するため、今年度から新たに新婚世帯に対して住居費を補助する制度創設の準備なども進めている。

政策課担当者は「女性の人口を増やすという目的で施策を検討するつもりはなく、あくまで子育て世代への移住促進策を政策の中心に据えていく考え」とした。

「市民の声よく聞いて」

「三浦市の課題を自分事として捉えるため、市職員もできるだけ市内に住んでほしい」。三崎で「古道具ROJI」を営む傍ら、移住・創業相談を受ける安原芳宣さんはこう口火を切った。

総務省が30日に発表した23年度労働力調査によると、女性就業者数は3059万人に上り、「働く女性」の数は比較可能な1953年以降、最も多くなった。それらを踏まえ、安原さんは「ホテルの建設も良いが、まずは企業を誘致して雇用を増やすこと、出産に対応する医院を設けることが最優先」とした上で、「我々民間や子育て団体など市民の声をよく聞いて、妊娠・出産・育児を安心してできる受け皿の整備など施策に反映してほしい」と市に求めた。