厚木市中荻野の養徳寺で5月10日に金毘羅大権現の大祭が行われた。本堂に金毘羅大権現の本尊や版画を飾り、地元念仏講の女性たちが家内安全などを祈った。

金毘羅大権現の社殿は鳶尾山の山頂近くにあり、江戸時代に同寺の心外悦禅師によって創建された。1月10日と5月10日、10月10日の縁日には地元の芸妓をはじめ、多くの参詣者が訪れていたという。しかし戦後の1951年に焼失してしまい、その後は賑わいが失われていた。2019年に同寺の進藤大寛住職などが中心となり、念願だった社や鳥居などを新築。今では新年の初詣に合わせて鳶尾山で参拝者に甘酒を振る舞い、5月の大祭では寺本堂で写経などを続けている。

この日は金毘羅大権現の身に着ける沓(くつ)や手に持つ笏(しゃく)なども披露。新藤住職は沓をはいて「金毘羅さんはこんな風に歩いていたかも」と見せ「いつかは昔の盛り上がりを取り戻したい」と話していた。幼少期に祭を見たという参加者の女性は「昔は縁起物などの出店が連なっていた」と懐かしんでいた。