海外旅行は好きでよく行っていたけれど、世界史の知識は断片的でなんとなく見て終わってしまっている……という旅行者も多いと思います。このような人に向けて、世界史を「歴史的名所=人気の観光地」という切り口で解説するのは、代々木ゼミナール世界史講師で、『人生を彩る教養が身につく 旅する世界史』の著者である佐藤幸夫氏。

「歴史を知れば、『ただ見るだけ』より旅が100倍楽しめる」と主張し、今はエジプトに在住する同氏が、エジプトの絶景ポイントを歴史とともに語ります。

今から5000年くらい前に、ナイル川流域が統一されてできたエジプト王国。古王国→中王国→新王国と3000年弱続き、紀元前の時代に世界の中心をなしました。古代大河文明の一つ、ということで歴史の授業をうっすらと覚えている人もいるでしょう。そんな歴史の登場人物や遺跡を、観光地をめぐるように解説していきます。

エジプト王国の発展と衰退

古王国の時代はピラミッド時代と言われ、クフ・カフラー(スフィンクスがある)・メンカウラー王の三大ピラミッドはナイルデルタの南端のギザ地区にあります。中王国の時代は、ナイル川中流域のテーベに遷都しました。テーベの都市神アモンは、エジプトの最高神で、全知全能の神とされる太陽神ラーと結合してアモン=ラー神となり、長い間信仰されました。しかし、メソポタミアからやってきたヒクソスに、一時支配されてしまいます。

ピラミッド スフィンクスを通して眺めるピラミッド

ルクソール神殿 テーベの東岸にあるルクソール神殿。中央にある柱、オベリスクの片割れはパリのコンコルド広場に……