「特にシアトルはMicrosoftやスターバックスコーヒーなど、世界的企業が集中する魅力的なエリアです。1ホテルのみならず、複数のオープンを考えています。他エリアでも、北米1位を目指してM&Aを進め、FCも増やしていく予定です。その先の世界的な戦略も視野に、海外シェア率を高めていきたいと思っています」と元谷氏は未来を見据える。

コースト カルガリーダウンタウンホテル&スイーツ バイアパ 『コースト カルガリーダウンタウンホテル&スイーツ バイアパ』(写真:アパホテル提供)

北米から日本に視点を戻すと、国内最大のホテルグループはどこへ向かっているのだろう。2023年12月、アパは大江戸温泉リート投資法人(2024年2月に日本ホテル&レジデンシャル投資法人に改称)の資産運用会社の全株式を取得した。リートを活用して、より多くのホテルオーナーにアパホテルFCに参入してほしい狙いだ。

「FCは初期投資が重たいですが、それをリートが持つことで、賃貸借でFCを増やすという事業形式が可能になりました。元々、アパブランドは9割が直営です。不動産としてホテルを長期保有すればするほど、土地も建物も減価償却して安定した経営ができますから。

また、既存のFCホテルをリートに売却し、FCオーナーが新たな投資をできるように支援したり、リートがホテルを取得して、FCオーナーに運営してもらう形も考えています。リートの活用を通じてFCネットワークの拡大を狙い、事業の可能性を広げていきたいですね」(元谷氏)

既存のアパブランドの戦略としては、大阪、名古屋、福岡などの大都市圏を中心に展開してきたこれまで同様、昼間人口が多いエリアへ拡大していく。すなわち、経済活動が活発で、観光需要が高いエリアだ。

「日本代表を応援する」というベクトルで一丸に

一見盤石な巨大グループだが、従業員3500人を抱える巨大さゆえの悩みもある。2023年3月、アパは日本サッカー協会(JFA)のナショナルチームパートナーに就任。男女代表チームをはじめ、フットサル、ビーチサッカーほか、サッカーに関する日本代表チームの公式スポンサーになった。目的は、全従業員が同じベクトルを向くフラッグにするためだ。

【2024年4月2日15時35分追記】初出時、記載に誤りがあり、一部訂正いたしました。

JAPAN PRIDE サッカー日本代表応援サイト 公式サイト内にある、『JAPAN PRIDE サッカー日本代表応援サイト』(写真:アパホテル提供)