中国の銅製錬業界が異例の協調減産に合意した。3月13日、非鉄金属の業界団体である中国有色金属工業協会が、銅製錬業界の自主的な協調と過剰生産能力問題への対応に関する座談会を開催。銅製錬大手19社の代表と中国政府の所管当局の幹部が出席し、討議を行った。

その結果、各社が持つ既存の製錬設備の保守点検計画を見直す(ことで実質的な減産を行う)ことや、生産ペースの引き下げ、生産能力の増強計画の延期、生産目標の達成計画の後ろ倒しなどで一致した。

協調減産の合意を受け、中国の商品取引市場では銅の先物価格が3月13日から2日連続で値上り。上海先物取引所の3月14日の終値は1トン当たり7万1570元(約147万円)と、2日間で2.4%上昇した。

溶錬費が8割近くも下落

先物取引業者の五鉱期貨が3月8日に発表したレポートによれば、銅製品の原料である銅精鉱(訳注:銅鉱石を選別して不純物を除去し、品位を高めたもの)の供給が製錬会社の生産キャパシティに対して不足し、(製錬会社が資源会社から受け取る)溶錬費が下落している。

さらに銅製品の需要縮小が重なり、銅製錬業界の利益を圧迫している。特に2月の春節(中国の旧正月)明け以降、不動産開発やインフラ建設向けの需要が一段と落ち込み、製錬会社はどこも採算割れの状況だ。

中国の銅製錬業界では、輸入銅精鉱の溶錬費の損益分岐点は1トン当たり40ドル前後(約5907円)とされている。ところが、2024年2月の加工賃の平均価格は半額近い同20.8ドル(約3072円)に下落。2023年7〜9月期につけた直近のピーク(同約90ドル=約1万3291円)から8割近くも下がっている。