はしご型のセパレートフレーム(ラダーフレーム)を持つトライトンと、オンロード重視SUVのアウトランダーPHEVを比較することにあまり意味はないかもしれないが、改めてトライトンの特性を強く感じた。

また、デリカD:5 での走行体験を思い出してみても、トライトンの走りはすべてにおいて新世代を感じさせる。

先代トライトンと比べると、ダブルウイッシュボーン式のフロントサスペンションは上下方向の作動領域であるストロークを増やし、それにともないショックアブソーバーを大径化。

リヤのリーフスプリング。リジットアクスルはいかにも頑丈そうだ(筆者撮影) リアのリーフスプリング。リジットアクスルはいかにも頑丈そうだ(筆者撮影)

リアサスペンションでは、いわゆる板バネであるリーフスプリングの枚数を縮小し、チューニングを大幅に変更している。

頭に浮かんだ「人馬一体」という言葉

急勾配の下り坂では、ヒルディセントコントロールとMUDモードを組みわせて安定した走りを見せてくれたし、地面に大きな“こぶ”が続くようなセクションでは、リアタイヤが完全に浮いた状態でもROCKモードであっさりと脱出した。

あらゆる悪路を難なくこなす走破性の高さに驚かされる(筆者撮影) あらゆる悪路を難なくこなす走破性の高さに驚かされる(筆者撮影)

しかし、よほどの状況下になければ、こうした各種モードを使わなくても、4HのNORMALモードだけで走行条件をあまり気にせずに走り切れるだろう。

さらにいえば、オフロード走行をかなりハードにこなすときも、アクセル操作によってリア側の踏ん張りからハイペースが維持できる印象がある。今回は、そこまでのトライはしていないが、増岡氏のコメントがそれを裏付けている。

また、エンジンの騒音・振動も低レベルであり、ツインターボによりすべての回転域でトルク感があって、とても扱いやすい。

4N16型コモンレール式直噴ディーゼルターボエンジン。トランスミッションは6速ATを組み合わせる(筆者撮影) 4N16型コモンレール式直噴ディーゼルターボエンジン。トランスミッションは6速ATを組み合わせる(筆者撮影)

付け加えておくと、今回は新車装着タイヤでの試乗であった。それでも、これだけのパフォーマンスが実現できているのだ。

このように新型トライトンは、車体、サスペンション、エンジン、トランスファー機構、そしてソフトウェアによる各種モード設定のバランス、さらに左右輪間の駆動・制動力を最適制御するアクティブヨーコントロール(AYC)など、三菱の知見を総動員し、それがひとつにまとまっている。

今回のオフロードコースは、非日常的なシチュエーションだ。そんな走行条件でも、トライトンの車内では増岡氏と世間話ができるほどの安心感があった。

そんな中で筆者の頭にふと浮かんだ言葉は、「人馬一体」だ。