――タイでの留学の後は?

2016年4月には、ミャンマー政府の人身売買対策局に配属されました。当時は、アウンサンスーチー氏が率いる民主派政権が発足した直後でした。ただし、警察は依然として軍が掌握していて、改革は進みませんでした。

その後の2018〜2019年にかけてオーストラリアに留学し、国際関係学の修士号を取得しました。そこでの学びから、ミャンマーでは多民族による連邦民主制がふさわしいと考えるようになりました。

外国に留学し、民主主義の重要性を学んだ私に対して、上司は不満とともに脅威を感じるようになり、昇進を阻止しようとしました。

選挙の際、アウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)には投票するなと、上司は私に圧力をかけてきました。私は上司の言葉を無視して、こっそりNLDに投票しました。

民主主義を取り戻すうえでの日本への期待

――日本での生活基盤を確立するうえでの苦労は。

当初は言葉も文化も分からなかったので大変でした。今は日本での生活にだいぶ慣れました。難民認定されたことで、精神的にも安定しました。日本語の勉強にも励んでいます。

――日本を含む国際社会に望むことは。

日本を含む世界の国には3つのことを期待したい。

1つ目としてミャンマーからの難民を受け入れ、定住の場を提供してほしい。2つ目としては、民主派勢力が結成した国民統一政府(NUG)への支援を強化してほしい。そして3つ目として、残忍な軍事政権へのいかなる支援もやめてほしい。

日本はミャンマーの軍事政権に圧力を加えることができる主要な国の一つです。軍事政権にとって、円借款をはじめとする日本からの政府開発援助(ODA)がなくなると困ると思います。日本ははっきりと姿勢を示してほしい。

著者:岡田 広行