日経平均を構成する大型株は好調だったものの、新興市場のグロース銘柄は低調だった。一部のAI関連などを除けば、大幅増収を続けるものの利益低調で無配の銘柄などは売られる場面が多かった。超金利時代の終焉を見越すマネーの動きも、高財務の安定配当銘柄が選考される結果となったようだ。

コロナ禍で上昇が目立った銘柄群は低迷

大型株のなかでも、下げが目立ったのはコロナ禍で上昇が目立った銘柄群。8000億円以上時価総額を減らし30位に後退したのはダイキン工業。コロナウイルスを不活性化するストリーマ技術なども評価され2021年9月に高値を更新。さらにロシアのウクライナ侵攻を受けた欧州でのヒートポンプ需要の高まりの中で昨年7月に時価総額9兆円を超す場面もあったが、そのヒートポンプが失速すると株価も下落。今年2月発表の四半期決算の不振もあり、低迷が続いてしまった。

コロナ禍の2021年3月末に時価総額5.1兆円に拡大、26位にまで上昇してニューノーマル銘柄の主役となったエムスリーだが、増配を続けても配当利回りはさほど高まらず、依然としてPERなど指標面に割安感が乏しく、顧客の予算圧縮影響などで業績の進捗も鈍かった。さらに、ベネフィットワンをめぐる第一生命との買収合戦も敗退。市場の評価を高めることができず、前年71位からついにランク外へ落ちてしまった。

2020年10月の日経平均採用とコロナ禍の巣ごもり需要期待で2021年4月に高値をつけたネクソンも55位から96位に後退。2023年12月期は営業増益が続くも純益が続落、配当性向の見劣りもあり市場の評価を下げたようだ。

ほかには資生堂、ファナック、ヤクルト本社、アステラス製薬、ニデック、日本ペイント、エーザイ、ユニ・チャームなどが大きく時価総額を減らし、このうちヤクルト本社とエーザイはランク外に去っている。

さて、新年度を牽引するのはどの業種か。出足をみれば、中東情勢の悪化などを受けて全体に低調な滑り出し。なお過熱気味のものは調整懸念もあるが、国内全体では賃上げの動きと新NISAによる資金流入と企業の積極的な還元姿勢が追い風となるはず。

アメリカでは利下げ時期をさぐる動きが活発で、また大統領選を争うバイデンとトランプでは政策が大きく異なるため、選挙戦の進展につれ、その影響も大きく受けることになりそう。回復が遅れる中国経済の行方も注目だ。引き続き市場の動向から目が離せないところだ。