では、戦略物流を考えていくにあたって、まず何から考えればいいのか。そのひとつが「ドミナント(dominant)戦略」です。

たとえば、街中や繁華街を歩いていて、とくに、コンビニエンスストアやドラッグストア、コーヒーチェーンや居酒屋チェーン、クリーニングチェーンなどのように、どこもあまり変わりばえせず、商品やサービスにもあまり差がない店で、「ここにも、そこにも、またあそこにもある。どうしてなんだろう」と疑問に思ったことがある人は少なくないと思います。

そのとき、このお店(あるいはそのチェーン全体)に対して、どのような印象をもったでしょうか。

「たくさん出店しているということは、それだけ人気があるのかも。今度、利用してみよう」

「出社するときはこっちのA店、帰りは向こうのA店が使いやすそう」

「こっちが混んでいたら、向こうを利用すればいいか」

「同じお店(=同じ看板、屋号)だけど、それぞれ同じなのかな。店ごとに何か違うのだろうか」

「同じ店同士で、お客さんの取り合いにならないのだろうか。どちらかがなくなって不便にならないか心配」

「同じ業態・業種だけど、この地域にお店がたくさんあるところと、1店しかないところとでは、特別な違いがあるのだろうか」

プラス面もあれば、マイナス面もありそうですが、その店に対して何らかの印象をもつことは間違いありません。ドミナント戦略のねらいのひとつが、この点にあります。

ドミナント戦略を活用するセブン-イレブン

英語のドミナント(dominant)には、「支配的、優位的」という意味があります。そのため、ビジネスの世界では「一定のエリアのなかで優位性、支配力をもつ」という意味で使われています。

つまり、ドミナント戦略とは、特定の地域に集中して出店して地域でナンバーワンの知名度・認知度を獲得し、その地域内でナンバーワンの売上を確保することを目的とする戦略です。

ドミナント戦略を打ち出す企業は珍しくありません。しかし、企業によってその取り組み方はさまざまです。

ドミナント戦略を有効に使って企業成長につなげている日本企業といえば、まずコンビニエンスストアをフランチャイズ(FC)展開するセブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン-イレブン)があります。