ちいかわは、日本の漫画家のナガノ氏が2020年にツイッター(現X)で連載を開始。主人公のちいかわと、友達のハチワレ、うさぎの3キャラクターを中心に物語が展開され、これまでに5冊の単行本が刊行されている。

2022年に日本のテレビでアニメ化された後、中国では2023年末頃からアニメファンの間でブームに火がついた。

名創優品は中国内外の人気キャラクターとのコラボ商品を次々に投入している。写真はちいかわのポップアップストアの店内(SNSの公式アカウントの動画より)

ちいかわの中国国内でのキャラクター利用権は、今回の名創優品とのコラボまで誰も取得していなかった。そのため中国のファンたちは、ちいかわグッズを手に入れるために日本の代理購入業者に高い手数料を支払って個人輸入していたほどだ。

名創優品はちいかわ(の版権管理会社)とのライセンス契約に基づき、中国市場向けにオリジナル企画のグッズを開発・販売できるようになり、(個人輸入に比べて)価格が大幅に下がった。それがポップアップストアへのファン殺到の呼び水になったようだ。

フリマアプリで高値転売も

「以前、ちいかわの手のひらサイズのフィギュアを個人輸入した時には600元(約1万2564円)以上もかかった。名創優品なら、同じくらいの大きさのフィギュアが50元(約1047円)ちょっとで買える」。北京のポップアップストアに来店した李里さんは、そう顔をほころばす。

そんななか、ポップアップストアで販売された商品が高値で転売されるケースも出てきた。財新記者が中国最大のフリマアプリ「閑魚(シェンユー)」を検索したところ、パジャマ姿のちいかわキャラクターのぬいぐるみが定価の69.9元(約1464円)の2倍前後となる110〜140元(約2303〜2932円)で取引されていた。

名創優品は近年、中国内外の人気キャラクターとのコラボ商品を次々に投入している。今回のちいかわとのコラボは、それらのなかでも破格のヒットと言えそうだ。

とはいえ、人気キャラクターの版権取得はコストアップ要因にもなる。名創優品の開示資料によれば、知的財産権のライセンス料を含む「販売・流通費」の2023年下半期(7〜12月)の支出額は13億2200万元(約277億円)に上り、前年同期比7割も増加した。

(財新記者:孫嫣然)
※原文の配信は4月1日

著者:財新 Biz&Tech