たとえば、毎年100万円を日経平均に投資するとします。いま4万円の日経平均が毎年2000円ずつ下がって、19年目に4000円になり、その後反転し、毎年2000円ずつ上がって27年目に2万円まで戻るとします。

日経平均は、4万円から27年目に2万円に半減しましたが、さて、資産額はいくらになったでしょうか。

答えは4026万円。積立総額2700万円(100万円×27年)の1.49倍に増えています。

ちなみに37年目に日経平均が元の4万円に戻ったら、資産額は9390万円で、積立総額3700万円(100万円×37年)の2.53倍です。

どうしてこういう魔法のようなことが起こるかと言うと、「資産額=株数×株価」で、株価が下がった時は株数を大きく増やせるからです。つまり、積立投資では、下がり続けない投資対象を選んで、とにかく買い続けることが大切です。

個別株の場合、かつての日本航空のように下がり続けて最終的にゼロになってしまうことがあります。ゼロになることはない日経平均(日本)・S&P500(アメリカ)・MSCI(世界)といった指数に連動する投資信託を買うと良いでしょう。

本多静六に学ぶ倹約・貯金と投資

積立投資の有効性が頭ではわかったものの、「薄給で、生活するのがやっと。毎月貯金して、それを積立投資に回すなんて無理」という方が多いかもしれません。また、「若いうちからシコシコ貯金しているようでは将来大成しないぞ。しっかりお金を使って色んな経験を積むべきだ」と力説する先輩がいたりします。

そういう人に知っていただきたいのが、本多静六(1866〜1952)です。日本の元祖・億リーマンというべき本多の生き方や蓄財法は、現代の我々にとっても大いに参考になります。

本多は明治32年(1899)に日本初の林学博士になり、東京帝国大学教授、林学の専門家として活躍しました。日本の造園学の基礎を築いたことでも知られ、日比谷公園など全国各地の公園を設計し、「日本の公園の父」と呼ばれています。

本多は、裕福な農家に生まれましたが、9歳の時に父が急逝し、家計は困窮しました。苦学を経験した本多は、「経済の自立なくして自己の確立はない」「財産や金銭は、生きていく中で必要不可欠なものであり、それが安定しなければ、自分の信念を貫くことはできず、人は大成することはない」と考えました。

そして、経済の自立を実現するために、独自の倹約方法と貯蓄方法を実践しました。