半導体の受託製造(ファウンドリー)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が、アメリカ政府から巨額の補助金を獲得した。

同社は4月8日、アメリカ商務省との拘束力のない予備的覚書に署名したと発表。これにより、TSMCがアリゾナ州で進めている半導体工場の建設プロジェクトに対して、アメリカの「CHIPS・科学法」に基づく最大66億ドル(約1兆19億円)の補助金が支給されることが固まった。

覚書によれば、アメリカ政府は上述の補助金に加えて最大50億ドル(約7590億円)の融資も提供する。TSMCはさらに、工場の建設投資の一部について最大25%の税制優遇の適用をアメリカ財務省に申請する予定だ。

史上最大の対米直接投資

TSMCは補助金の獲得と同時に、アリゾナ州に(建設中の第1工場と第2工場に続く)第3工場を建設すると発表した。それにより、プロジェクトの総投資額は650億ドル(約9兆8674億円)を超える見通しだ。

同社によれば、このプロジェクトは外国企業による対米直接投資としては史上最大規模となる。TSMCの董事長(会長に相当)を務める劉德音氏は、声明の中で次のように述べた。

「CHIPS・科学法(の成立)が、かつてない規模の投資を推進するチャンスをわが社にもたらした。アメリカ本土で最先端プロセスを用いた半導体製造サービスを実現し、アメリカの顧客に対してよりよいサポートを提供したい」