「再就職先として案内した会社が自分に何を求めているのか? 自身の役割や立ち位置についてしっかりと聞いてくださる方は、新しい職場にもすぐに馴染み、パフォーマンスを上げている印象があります」

たとえば、「自分の上や下のポジションにどういう人がいるのか」「自分はベテランとして若手の育成をすべきなのか、それともあくまでメンバーのサポート役に徹するべきなのか」など、求められる役割や立ち位置を把握し、柔軟に変えられる人は、企業側からの評価も高いという。

過去の経験が新しい価値に変わる

「自分はこの仕事しかできない」――。

そうして過去の経験やスキルにとらわれ過ぎて、再就職を困難にしてしまう人も多い。それもある意味、自分にかけたバイアスだが、その偏った見方を外すためにも、「経験をリフレーミングしてみるといい」と中田さんは話す。

リフレーミングとは、物事の枠組みを外して、違う視点から捉え直してみること。

これまで培った自身の経験を棚卸しして、リフレーミングしてみると、思いも寄らぬところで必要とされる“価値”に変わることがある。

その一例が、長年プリンター・複合機のメーカーに勤めてきたBさん(65歳)だ。会社では得意先への「ルートセールス」を行っていて、主な商談相手は中小企業の社長だった。

Bさんは日々得意先を回る中で社長との距離も近くなり、中小企業の経営者ならではの悩みも聴くように。ときには解決につながるようなサポートをすることもあった。