東京都と新宿区は2018年3月、今後の新宿駅周辺再開発の指針として「新宿の拠点再整備方針」を策定した。2040年代を見据えて駅や駅前広場、駅ビルなどを一体的に「新宿グランドターミナル」として再編する構想で、駅の東西を結ぶ歩行者デッキの整備はその重要な要素の1つだ。

従来、新宿駅周辺の大きな課題は西口側と東口側の「分断」だった。2020年7月に地下の東西自由通路が開通して通り抜けの利便性は改善されたが、「歩行者動線をさらに強化するために、地上にデッキも整備する」(都市整備局)。仮設構台とスロープはこのデッキを建設するための工事用施設で、構台がそのままデッキになるわけではないという。

新宿駅西口 仮設構台 新宿駅西口駅前広場で工事中の仮設構台とスロープ(記者撮影)

新宿駅西口 スロープ 仮設構台とスロープは東西を結ぶ歩行者デッキの工事用だ(記者撮影)

仮設構台は2023年8月に工事に着手。おおむねビルの2階程度の高さがあり、今後建設される歩行者デッキも同じくらいの高さとなる予定だ。デッキは小田急百貨店本館の跡地に建つ超高層ビルの建設に合わせて工事を進める。

同ビルの竣工は2029年度の予定だが、デッキについては「東口側の工事進捗の都合もあるので、完成は2035年度ごろ」(都市整備局)の見込み。デッキには新設するJR・小田急の改札も接続する予定で、新たな乗り換え動線が生まれることになる。

都庁超える高さ260mのビル

その小田急百貨店本館跡地に建つ超高層ビルは3月26日に着工した。小田急電鉄・東京メトロ・東急不動産の3社が事業主体となる「新宿駅西口地区開発計画」の「A区」と呼ばれる部分だ。

小田急百貨店新宿店本館跡地 小田急百貨店新宿店本館があった場所。高さ約260mの超高層ビルが建設される(記者撮影)

ビルは地上48階・地下5階、高さは約260m。完成すれば東京都庁(高さ243m)を抜いて新宿一の高さとなる。当初小田急と東京メトロの2社による事業だったが、2024年2月に東急不動産が正式に参画した。低層部に商業施設、上部にオフィスなどが入り、最上部の47〜48階は「眺望を生かした施設の特徴となるような空間」を設けるという。

新宿駅西口地区開発計画 図 新宿駅西口地区開発計画の概略図(画像:小田急電鉄・東京地下鉄・東急不動産)