CTは出血した病変をとらえるのが得意で、脳出血やくも膜下出血が疑われる場合や、頭部外傷の検査に向いている。撮影時間も1〜2分と短く、急いで撮影する必要がある救急診療に適しているそうだ。

一方、MRIは血管の異常も含めた病変を詳しく映し出す検査で、脳の病気全般がわかる。「予防医学にはMRI検査が向いている」(金中医師)という。

頭部MRAは、頭部MRIの画像から血管の画像だけを取り出し、コンピューター上で処理したもの。脳動脈瘤(脳動脈にできたふくらみでくも膜下出血の原因となる)や、血管の狭窄など、血管の細かい異常をとらえることができる。

「最低でも頭部MRIとMRAの検査ができなければ、脳ドックとはいえません。日本脳ドック学会の推奨する標準的なメニューにも、この2つの検査が含まれています。また、これは専門的になりますが、MRIの画像の精度でいうと、『1.5T(テスラ)以上のMRI装置が必要』とされています」(金中医師)

テスラは、MRIの磁石を引き付ける強さのことで、強いほど鮮明な画像が得られる。

若くても脳ドックを受けたほうがいい人

日本脳ドック学会では、「中・高齢者」「脳卒中・認知症の家族歴がある人」「喫煙している人」などのリスク因子を持つ人たちを、脳ドックの対象としている。

脳ドックの対象となる人

これに対し、金中医師はリスク因子にかかわらず、「30代になったら一度、脳ドックを受けたほうがいい」と考える。

とくに若くても喫煙習慣や大量飲酒、ストレス、家族にくも膜下出血になった人がいるといったリスクがある人は、脳ドックを受けるメリットが大きいそうだ。それはなぜか。