2人の関係性が、コロナ禍でも変わらず、平和で穏やかだったのも支えになっていたのかもしれない。当時はステイホームを余儀なくされ、家族やパートナーなど同居人と暮らす人は、顔を合わせる時間が長くなった。苛立ちや不安をつい相手にぶつけてしまい、関係性が悪化したケースも少なくない、という報道が散見されていた。

だが和志さんと玄太さんはどこ吹く風。「コロナが終わったらどこに旅行に行こうか?」と話すなど前向きだった。一緒にコロナに罹患もしたが、幸い無症状だったため、家でのんびり過ごしながら療養した。

写真左から和志さん、玄太さん(撮影:梅谷秀司)

コロナ前も、休日は基本的に一緒に過ごしていたという二人。お店の営業時間も含めると、ほぼ24時間一緒にいることになるが、ケンカはほぼないという。その理由は、価値観が同じだからだと和志さんは話す。

和志「性格は反対だけど、価値観が合ってるんだと思います。マナーというか、道徳的なものが。人として、みたいな。飲食店での店員さんへの態度とか、ごちそう様ですをちゃんと言ったか、とか」

玄太「えっ、そうなの?」

和志「違う?」

玄太「うーん、何でしょうね」

和志「わからないのに否定するんだ(笑)」

数年が経ち、ウイルス騒動がほぼ終息した現在。人々の生活や行動も、飲食店の営業も、以前に戻っている。ロイトシロも、かつてのようににぎわいを取り戻している。改めて、「みんなが集まって笑顔になれる場所」の大切さを、2人はエピソードを交えながら語る。

玄太「お父さんやお母さんを連れてきてくださる方がめっちゃ多いんです。ご家族に紹介したいお店だと思ってもらえたのはうれしいですね。妊婦さんが来られて、しばらく経って、お子さんと一緒に来てくれたこともありました」

和志「高校生のころから来ていた子に、『就職したんです』って言われたのもすごくうれしかった。勝手に成長を見守っていますね」

お客さんのなかには、コミュニケーションが苦手だったり、職場や学校に馴染めていなかったりと、人間関係に悩みを抱えている人も少なくないのだと和志さん。けれど、ロイトシロに来ると生き生きとし、周囲の人たちと楽しそうに話したり、友達ができたりする人もいるという。