しかし、飼っている7匹のうち3匹の狂犬病予防接種・登録は10年前、あとの4匹は接種も登録もなされていない状態だったという報道もあり、飼育管理がずさんだった可能性も否めません。

犬は、約1万2000年前から人間とともに暮らしてきた素晴らしいパートナーです。しかし、残念ながら犬による咬傷事故もたびたび起こっており、今回の事故のように飼い主の過信から起きた事故も少なくありません。

環境省の統計資料「動物愛護管理行政事務提要(令和5年度版)」によると、2022年度の犬による咬傷事故は年間4923件あり、そのうち公共の場での発生が3019件でした。実際にはもっと多くの事故が起きていることが予想されます。」

「四国犬」とはどんな犬か?

四国犬は、四国地方に古くからいる歴史のある犬で、日本の土着犬として1937年に国の天然記念物に指定されています。

四国犬を飼っていたことがあるという滋賀県のSさんは、「オオカミによく似ている野性味あふれる犬。飼い主に忠実で、勇敢な性格。群れ(飼い主)やテリトリーを守る傾向が強く、知らない人は苦手」と話します。

Sさんによると、警戒心や闘争心から攻撃的になることがあるため、散歩の際には、他の人や犬との接触に十分注意し、飼い主がしっかりとコントロールしなければならないとのことで、「事故を起こした犬は、四国犬の標準的な大きさよりもかなり大きい。襲われた人はかなりの恐怖を感じたのではないか」と言います。

四国犬(写真:anahtiris/PIXTA)※今回、事故を起こした犬ではありません

現在、日本では県や市の条例で、人に危害を加える恐れがある犬や、咬傷事故を起こすと重大な問題になる可能性がある犬などを「特定犬」と定めています。札幌市、茨城県、水戸市、佐賀県が「特定犬」制度を導入していて、飼育には遵守事項が設けられています。