羽田空港からフランス経由でスペインまで、エールフランスのビジネスクラスに乗りました。異なる機種どうしの乗継で、2種類のビジネスクラスを体験。その“差”はけっこう大きいものでした。

羽田→パリ 機内の様子は

 円安の影響で外国が遠くなってしまいましたが、筆者(武田信晃)は2024年4月末、羽田空港からパリのシャルル・ド・ゴール空港経由でスペインのセビージャ空港まで、エールフランスのビジネスクラスに乗る機会がありました。日本人はビジネスクラスでも、全日本空輸(ANA)や日本航空(JAL)に乗ることが多いと思いますが、外国のフルサービスキャリア(FSC)のビジネスクラスとは、いったいどのようなものでしょうか。

 搭乗したのは全296席のボーイング777-300で、ファーストクラス4席、ビジネスクラス58席、エコノミー234席となっています。ビジネスクラスは横1-2-1の配列で、全席から通路にダイレクトで行ける、同クラスの基本的なレイアウトを採用しています。

 ゴールデンウィーク中のフライトということもあり、ビジネスクラスも満席。エコノミークラスの人もビジネスクラスの通路を通過して座席に向かうため、世界有数の混雑路線である羽田〜千歳間の満席時のような慌ただしさを感じました。ただ、フランスのFSCのため、日本人よりも外国人が多かったのはいうまでもありません。

 座席は完全フルフラットとまではいきませんが、ビジネスクラスなので足を伸ばして体をほぼ横にでき、寝られます。座席横には電源コンセントとUSBポート、さらに横にはエチケット袋とドリンクホルダーがあり、そこにはペットボトルの水、収納棚の扉裏には鏡、アイマスク、歯ブラシなどが入ったアメニティポーチとヘッドホンが収納されていました。

 座席には枕と毛布、スリッパ、座席番号が表示されたハンガーが置いてあります。モニターの上方の角にはハンガーマークのボタンがあり、押すとボタンが飛び出てハンガーがかけられるようになっています。ただ、上着をかけたハンガーをフライトアテンダントに渡すと別の収納エリアで預かってくれるシステムでした。

食事はどんな感じ? 日本語のメニューも

 出発前にフライトアテンダントから、ウェルカムドリンクについて聞かれるので、筆者はシャンパンを選択。前菜も配られます。また、ビジネスクラスにはフランス語、英語、日本語などで表記された小冊子が置いてありました。夕食と朝食についての詳細とワインの種類なども書かれたメニュー表です。

 夕食はパン、サラダのほか、2種類の前菜が出てきました。メインディッシュは牛、鶏、魚などから選択します。前菜を食べ終わると運ばれてきて、食後にはデザートもありました。肝心の味ですが、さすがフランスのフラッグシップキャリアといったところ。完食しました。

“フランスを感じた”のは、3種類のチーズがついてくることと、ワインリストの豊富さです。フランス人のフライトアテンダントにおすすめのワインを聞くと、2種類の返答が。迷っていると「試飲してみてください」ということで、両方いただきました。試飲後に好きな方をフライトアテンダントに伝えたので、筆者は結局、グラスワイン3杯分を飲んだことになります。

 ビジネスクラスの特徴としては、ギャレー横にちょっとしたカウンターバーがあることです。スナック類、カップ麺、各種のドリンク類が用意されていました。小腹が空いた時はここに来るとよいでしょう。ロシア・ウクライナ戦争によりロシア上空を飛行できないことから、羽田〜パリ間のフライト時間は14時間50分(帰りは13時間30分)に延びているので、カウンターバーは非常に助かるサービスです。フライトアテンダントに「これをください」と気を使っていう必要がないのもストレスフリーです。

 エンタメも非常に充実していました。筆者は仕事をしつつも、ついつい映画を観てしまいました。日本の映画もあるので、映画好きにはうれしい時間となるでしょう。

パリ→セビージャ 座席数100の機体へ乗り換え

 経由地であるパリに到着後は、乗り換えてセビージャへ向かいます。搭乗したのはエンブラエル190という機体でした。エールフランスの公式サイトによると、2-2の配列で座席数は100。筆者はエンブラエルに搭乗したことはなく、また大型機ではないので、ビジネスクラスというのはどうなのか想像がつきませんでした。

 機内は前方2列、計8席分がビジネスクラス、3列目以降がエコノミークラスでした。ただ座席はエコノミークラスと同じ。2列目と3列目はカーテンで仕切られているだけでした。フライト時間が2時間半ということもあるのでしょう、エンタメの設備はありません。

 では、どこで差別化が図られているのか、カーテンの隙間から見た感じになりますが、ビジネスクラスではペットボトルの水の提供と食事がつくというのが大きな違いのようでした。筆者は以前、フランクフルト〜ミュンヘン間というわずか45分のフライトでビジネスクラスに乗ったことがあるのですが、忙しいながらも軽食が提供されました。短距離のビジネスクラスでは、座席より食事で差をつけるのでしょう。

 エンブラエル190の機内では、フランスで有名なシェフであるフランソワ・アダムスキ氏監修の料理が提供され、プレートには料理についての説明が書いてある小さな紙が挟まれていました。こういった配慮は、さすがエールフランスといえましょう。セビージャ行きではニョッキ、チーズ、アップルタルトが、パリ行きではサラダ、チーズ、チョコレートケーキが配られました。

各空港のラウンジの様子

 ビジネスクラス搭乗者は、各空港でラウンジも利用できるので、ラウンジについても触れようと思います。往路の羽田空港では、第3ターミナルにあるJALのラウンジを利用しました。

 シャルル・ド・ゴール空港では、セビージャ行きは成田空港第3ターミナルのように、離れたところにあるターミナル2Gへ行く必要がありました。もちろん、エールフランスのお膝元空港ですからターミナル2G内にもラウンジがありました。

 朝6時頃でしたが、ラウンジはすでにオープンしていました。適度な大きさで清潔感もあり、座席もソファ、テーブル席などいろいろ。リラックスしている人、パソコンを開いているビジネスマンなど様々でした。飲食類はドリンク、パン、チーズなどでした。

 一方、復路の羽田空港行きはターミナル2Eからの出発。セビージャ空港からの出発が遅れた影響で約15分間の滞在でしたが、2Eにあるラウンジはとても大きく、料理も非常に充実していました。例えば、パンもクロワッサンといったベーシックなものだけではなく、ひと口サイズのハンバーガーがあり、ほかにもチーズ・ハム類やデザート、アルコールなど、各カテゴリーに用意される飲食物の種類は2Gより多かったと思います。ただ、時間がなかったので、残念ながら筆者はハムとチーズをちょっとつまんですぐ搭乗口に向かいました。

 今回のフライトでは、パリ〜セビージャ間において往復とも出発が遅れたほか、セビージャで会った外国人ビジネスウーマンはロストバゲッジになっていました(後日、発見)。とはいえ機内で提供されるサービスは問題なかったですし、日本人、または日本語を話せるフライトアテンダントもおり、英語でのコミュニケーション含めこれといって困ることはありませんでした。