東京大学の入学式で医学部を卒業して現在、JAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙飛行士候補生として訓練に励む米田あゆさんが祝辞で「好奇心を持って新しい一歩を踏み出して下さい」と新入生に語り掛けました。

宇宙飛行士候補者 米田あゆさん
「きょうは『自分で一歩を踏み出すこと』と『社会を一歩前に進めること』についてお話をしたいと思います。まず、好奇心を持って新しい一歩を自分で踏み出し、感じ、学んだ経験を大切にして下さい。未体験や未開拓の地に足を踏み入れた経験が次の新しい一歩を踏み出す原動力となるはずです。ところで『ファーストペンギン』という言葉をご存知でしょうか。ペンギンは普段、陸上で集団行動しますが、そのなかで最初に危険を顧みず魚を求めて海に飛び込むペンギンを指す言葉です。新しい領域を切り開く人の例えとして用いられ、通常は最初にリスクを取ったものが多くのリターンを得るというストーリーで語られます。しかし、私がむしろ重要だと思うことは、そのファーストペンギンに続いて、集団全体が海に飛び込み、皆が成長していく点です。世の中には未知なる領域に挑戦し、その勇敢な行動によって周囲の人々に影響を与える人がいます。勇気ある他者の行動を積極的に探して下さい。その出会いのなかであなた自身が刺激を受け、成長し、行動することができるでしょう。そして、そのような機会を大切にし、自分自身も社会を一歩前に進める意識を持って下さい。1人の人間にとっては小さな一歩であっても、人類にとっての大きな飛躍のきっかけとなることもあります。一歩を踏み出して挑戦を続けていって下さい」

 東京大学の入学式は東京・千代田区の日本武道館で行われ、約3100人の新入生が出席しました。