新型コロナの感染症法上の位置付けが5類に引き下げられてから、まもなく1年となります。感染への警戒が薄れるなか、今も後遺症に苦しむ女性を取材しました。

■今も続く新型コロナ後遺症

 今も日常生活を送るのがやっとです。都内に住む石川聖良さん(仮名・30代)。

石川聖良さん(仮名)
「(Q.息苦しそうですね)そうです」

 彼女を悩ませているのは、新型コロナの後遺症です。

石川さん(仮名)
「すぐ疲れちゃうので座ったり…しています」

 3年前、保育士として働いていた園でコロナに感染したとみられます。38℃の発熱の後、2年もの間、寝たきりの状態が続きました。

「コロナ後遺症」に苦しむ石川さん(仮名)
「30回ぶん回されて海底に沈められているぐらい気持ち悪くて、寝ていてもしんどい状態」

 充実していた保育園での仕事は退職を余儀なくされました。

 症状は回復傾向にあるものの、3年経った今もめまいや息切れなどの症状に苦しんでいます。現在は貯金を切り崩しながらの生活です。

「コロナ後遺症」に苦しむ石川さん(仮名)
「作業すると苦しくなるので、座って立ってを繰り返している」

 「コロナ後遺症」とは、WHOの定義では発症から3カ月経っても倦怠(けんたい)感や咳、記憶障害などの症状が少なくとも2カ月以上続く状態です。

 厚労省の研究班が行った調査では、感染した人のうち「“後遺症”とみられる症状がある」と答えた人は1割から2割でした。

 これまで7000人以上の後遺症患者を診てきた平畑医師は…。

ヒラハタクリニック 平畑光一院長
「5類になったからといって後遺症が軽くなったことは全然ない。また後遺症の患者が減ったということもないと思う。周りの理解があるかないかで、症状が悪化するかしないかはかなり変動してしまう。最初の2カ月間がすごく大事な時期で、この時期に無理をしない。ものすごく大事になってくる」

 石川さんをはじめ後遺症患者らで作る団体は、仕事を失った時の補償制度の充実などを国に求めています。