世界最古のオークション会社「サザビーズ」で、限定50台のレクサス「LFA」が高値で出品されていました。いったいどのような個体なのでしょうか。

レクサスが細部までこだわりぬいて作った、フラッグシップスポーツカー

 近年、海外のオークションにて日産「スカイラインGT-R」やホンダ「NSX」など、高値で推移しているのが国産スポーツカーです。

 そのなかでも希少性の高いハイパフォーマンスカーにレクサス「LFA」があります。

 LFAは、レクサスのハイパフォーマンスシリーズ「F」のフラッグシップモデルで2009年の東京モーターショーで発表されました。

 パワートレインは当初のV8をあえて変更し、専用の4.8リッターV型10気筒エンジンからは最高出力560馬力を誇り、6速2ペダルMTのASGにて動力を伝えます。

 さらにプラットフォームもカーボンファイバーを採用する贅沢な造りは、レーシングカーさながらといえるでしょう。

 エクステリアもレクサス初のスーパースポーツということもあってこだわりが凝縮されており、ボンネットからグリルの処理はレクサス車共通のスピンドルグリルに通ずるものがあります。

 リア周りも他に類を見ない個性的なテールランプや、三角形のエグゾースト周りの処理は、後続車からでもレクサスのスーパースポーツを印象付けます。
 
 さらにエンジンには相当な開発期間がかかり、最高出力や0‐100km/h加速などの数値以上にこだわったのがドライバーとクルマの関係です。

 LFA独自のドライサンプと独立スロットル、レッドゾーン9000rpmという超高回転エンジンに求められたのは、ノイズを徹底的に排除したエンジンサウンドです。

 ヤマハと共同開発したパワートレインは、ステンレス製の等長エグゾーストマニホールドやチタン合金のサイレンサーを採用することによって「天使の咆哮」と呼ばれる管楽器のようなサウンドを奏でます。

 またLFAにはサーキット走行を想定し、さらに性能を底上げした「ニュルブルクリンクパッケージ」があります。
 
 ニュルブルクリンクパッケージの最高出力はプラス11㎰の571㎰となり、6速2ペダルMTの変速も0.2秒から0.15秒へ短縮されました。

 またエクステリアも大型リアウイングや大型フロントスポイラー、カナードが装着されます。

 このような開発費を惜しげもなくかけたLFAの新車価格は3750万円(ニュルブルクリンクパッケージは約4500万円)と価格面でも話題になりました。

 そんなレクサスのフラッグシップカーが米国サザビーズで出品されました。

希少なニュルブルクリンクパッケージ車

  今回の個体は2012年式レクサスLFA ニュルブルクリンク パッケージで、アメリカでわずか25台納入された車両のうちの1台となっています。

オークションに登場した2012年式レクサス「LFA ニュルブルクリンクパッケージ」のインテリア ©2024 Courtesy of RM Sotheby's

  ボディカラーはニュルブルクリンク パッケージのなかでは唯一のオレンジといわれており、インテリアはレッドのヘッドライナーとシート、ブラックのダッシュボードとセンターコンソールは総アルカンターラ仕上げとなっています。

 さらにインテリアには、カーボンファイバーのトリムがふんだんに使用されています。

 走行距離はわずか315マイル(約506km)で新車同様といえるでしょう。

 ほかには、オリジナルのオーナーズマニュアル、組み立て写真、サービス記録のコピーが付属します。

 ホイールはBBS製のマグネシウム製ホイールに交換され、タイヤもブリヂストン「ポテンザRE070」が装着されています。

 さらに車全体の重心を下げるために、車高を約1cmローダウンしてあります。

 今回の個体は新車同様のコンディションや、アメリカではわずか25台しか納入されていないこともあって、160万ドル(約2億3800万円)の希望価格が設定されていますが、落札には至りませんでした。

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 専用4.8リッターV型10気筒エンジン、カーボンファイバープラットフォームなど、LFAの開発には400億円以上かかっているといわれており、売れば売るほど赤字のため限定販売といわれていました。

 また、手組みのエンジンなどのコストを考えると今後も登場しにくいモデルということもあって、LFAの価格は上昇の一途をたどることが想定できます。