2024年4月2日、東京・お台場地域にある新スポット「シティ・サーキット・東京ベイ」にて、アルピーヌ・ジャポンによるトークイベント「アルピーヌF1チーム MEET THE DRIVER」が開催されました。

F1日本GPに参戦する「アルピーヌF1」ドライバーがトークイベント

 2024年シーズンより4月開催となったF1日本グランプリ。この週末、4月7日に鈴鹿サーキットにて決勝が行われます。

 初となる春の開催を目前に控えた4月2日、アルピーヌ・ジャポンは、「BWTアルピーヌF1チーム」のドライバーが参加するイベント「アルピーヌF1チーム MEET THE DRIVER」を開催しました。

 会場となったのは、東京・台場の話題の新スポット「シティ・サーキット・東京ベイ」です。

 同施設は、2023年秋にオープンしたばかりの電動カートを使ったレンタルカート場であり、モータースポーツ関連イベントに最良のステージといえます。しかし、同施設を選んだには、大きな秘密が隠されていました。

 なんとF1ドライバーによるトークセッションに留まらず、彼らのサーキットアタックも披露されるというから驚きです。その特別なシーンは、メディアだけでなく、幸運な機会を得た少数の熱心なアルピーヌファンにも公開されました。

 ゲストには、31号車ドライバーであるエステバン・オコン選手と、リザーブドライバーであるジャック・ドゥーハン選手の2名が招かれる予定でしたが、、事情により二人の会場入りが遅れる事態に。

 そこで彼らの登場を待つファンの為に、一肌脱いでくれたのが、2輪レース界のレジェンド、ミック・ドゥーハンさんでした。その名からも分かるように、ドゥーハンさんは、ゲストの一人であるジャック・ドゥーハン選手の父親であり、ご子息が出席するので、プライベートでイベントの見学に訪れていました。

 主催であるアルピーヌ・ジャポン側からの突然の依頼にも関わらず、ミックさんはトークセッションの参加を快諾。ファンへの挨拶に加え、質問にも応じてくれることになりました。

 そこで投げかけられたのが、父親として、4輪レーサーではなく、2輪のレーサーを目指して欲しかったのではとの問いでした。ミック氏は、「元々、ジャックは、2輪レーサーを夢見ていました。そのため、ダートバイクなどに挑戦していましたが、残念ながら、5歳の頃、怪我を負いました。

 その時、ミハエル・シューマッハ選手が、カートをやってみたいかと声をかけ、支援してくれました。それで、ジャックは4輪に興味を持つようになったんです」と、ジャック選手の4輪レーサーへの歩みには、皇帝と呼ばれたF1界のレジェンド、シューマッハが大きな影響を与えたことを明かし、ファンを驚かせました。

 ミックさんが温めてくれたことで、少し緊張の面持ちだったファンも気持ちが和んだようで、楽しい雰囲気でアルピーヌF1ドライバーの二人によるトークセッションがスタート。

 そこでは、F1ドライバーとしての顔だけでなく、純粋なクルマ好きとしての素顔も垣間見ることができました。オコン選手が、日本で最も訪れたい場所は、なんと「つくばサーキット」。しかも、そこでドリフトを楽しみたいそう。

 その理由は、5歳の頃、友人たちの熱狂したTVゲーム「グランツーリスモ3」で、バーチャルでの筑波サーキットを走り込んで以来、いつの日か、本物の筑波サーキットを走ってみたいと願うようになったと語りました。

BWTアルピーヌF1のエステバン・オコン選手(左)とリザーブドライバーであるジャック・ドゥーハン選手(右)

 またドゥーハン選手は、最も憧れるクルマとして、なんと日本車であるR34型「スカイラインGT-R」を挙げました。GT-Rとの出会いは、6歳頃に見た映画「ワイルドスピード」。その活躍を見て、大好きになったと話します。

 最近も何度か、R34型GT-Rのステアリングを握る機会があったとのことで、「どのGT-Rも素晴らしかった。その中でもVスペックⅡが最高。エンジンやハンドリングなど全てが良いね」と満面の笑顔で語るドゥーハン選手の姿は、日本のクルマ好きと変らないものでした。モータースポーツシーンの最高潮で活躍する若きレーサーが、日本の自動車文化に影響を受けていると知れたことは、日本人ファンにとって、とても嬉しいエピソードであったことは言うまでもないでしょう。

オコン選手による「アルピーヌA110Rチュリニ」によるアタックも

 F1について、それぞれの持つドライバーとしての強みを問われると、オコン選手は、「今、新しくなったマシンに最適なスタイルを探っていますが、速さだけでなく、タイヤ、ブレーキ、エネルギーまで気を配った走りができること。最適な答えを見つけ、最高の週末にしたいと思います」と語り、週末の結果を期待して欲しいとファンにアピール。

オコン選手による「アルピーヌA110Rチュリニ」によるアタックの様子

 一方、リザーブドライバーとして、F1シートを目指すドゥーハン選手は、「レーシングドライバーは、自身の強みを意識するよりも、改善すべき点に注意を払うように考えています」と、高い向上心を見せるなど、互いにレースに対する冷静な姿勢のプロとしての一面と共に、情熱的に頂点へと挑む挑戦者の一面も垣間見ることができました。

 今週末に開催されるF1日本グランプリのレースの見所について、オコン選手は、「最初のファーストセクターは、全てのF1マシンがポテンシャルを最大限発揮するシーンです。その瞬間では、ドライバーたちの脳内では、アドレナリンが大量に出て戦闘モードに。特に鈴鹿サーキットでは、第1〜第4コーナーが注目ポイントになるでしょう。楽しみにしてください」と、ファンへとメッセージを送りました。

 鈴鹿を目前とした異例のサーキットアタックでは、ドゥーハン選手による電動カートだけでなく、オコン選手による「アルピーヌA110Rチュリニ」によるアタックも。小さなカートが駆け抜けるサーキットトラックを、小型軽量とはいえ、市販車で駆け抜けるというのは、なんとも無茶な挑戦に思えましたが、ステアリングを握る前から、オコン選手はやる気満々。タイトなコースを華麗に駆け抜け、見事コースレコードを叩き出してくれました。電動カートとA110 Rチュリニというマシンの差はありますが、モータースポーツの頂点に挑む若きレーサーの走りは、無駄がなく、美しいもので、鈴鹿での活躍を期待されるものとなりました。

 今期第4戦となる日本グランプリの決勝は、三重県鈴鹿市にある鈴鹿サーキットで、4月7日の14時スタートとなります。残念ながら、現時点では、BWTアルピーヌF1チームの10号車のピエール・ガスリーと31号車のエステバン・オコン選手の両者ともに、ノーポイントのまま。鈴鹿には、アップデートを図ったマシンで挑むというだけに、その活躍にも注目です。

トークイベントに先立って開催された「メディア対抗タイムアタック」の様子

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 今回のイベント、「アルピーヌF1チーム MEET THE DRIVER」の開催前に、シティ・サーキット・東京ベイのコースを電動カートで走行する「メディア対抗タイムアタック」が開催されました。

 全部で12媒体が参加し、各チーム2名がタイムアタックに臨みましたが、VAGUE編集部チームは12チーム中6位とふるわず、決勝に進むことはできませんでした。

 とはいえ、トムスが運営するシティ・サーキット・東京ベイは本格的なコース設定となっており、23区内唯一のサーキットとして誰でも本気で楽しむことができます。

 ゆりかもめの青海駅を降りたすぐの場所にあり、シティ・サーキットを利用する人は駐車場も無料と好アクセス。短い時間でしたが久しぶりに良い汗をかきました。