2024年3月22日に日本で発売されたホンダのコンパクトSUV新型「WR-V」の販売が好調なようです。コンパクトSUVは日本車も輸入車でも数多く存在していますが、なぜ新型WR-Vは日本においてヒットしているのでしょうか。

全長4325mmのコンパクトSUVは車両価格209万8800円から

 2024年3月22日にホンダの新型SUVである「WR-V」が発売となりました。

 一般社団法人日本自動車販売協会連合会が発表する「乗用車ブランド通称名別順位」を見ると、新型WR-Vは2024年3月に2185台が登録され、初登場ながら29位となりました。

 発売わずか10日弱での数字としては立派なもの。1か月まるまる売れるこの4月は、かなりの成績の伸びが期待できそうです。とりあえず、ホンダが設定した月間3000台というささやかな目標は、軽々とクリアできることでしょう。

では、そんな新型WR-Vとは、どんなクルマなのでしょうか?

 ホンダのリリースを見ると、「WR-V」の名称は「Winsome Runabout Vehicle(ウインサム・ランナバウト・ビークル)」の頭文字を組み合わせたものと説明されています。

 「Winsome(ウインサム)」は、「楽しさ」「快活さ」を意味しており、生き生きとした毎日を楽しんでほしいという思いが込められています。

 また、プレスインフォメーションには開発責任者である金子宗嗣氏による「WR-Vは、シンプルでモダンなデザインに、コンパクトながらも優れた機能とゆとりある空間を持つSUVとしながら、お求めやすい価格とすることも重視して開発しました」との言葉があります。

 具体的な内容は、「フィット」や「ヴェゼル」などに使われるプラットフォームとシャシを使い、1.5リッターのエンジンとCVTを搭載するFFモデルです。

 エンジン出力は87kW(118PS)で燃費性能は、最高で16.4㎞/L(WLTCモード)。サイズは全長4325mm×全幅1790mm×全高1650㎜で、ほとんど同じホンダのSUV「ヴェゼル」と変わりませんが、新型WR-Vの方が背は高く、また大きなグリルを備えており、堂々さが感じられます。

 実際、WR-Vの見栄えはなかなかものだと感じました。そして、グローバルカーとして開発された新型WR-Vは、インドで生産されて、逆輸入車として日本にやってきます。価格は209万8800円から。

 ホンダには同じようなサイズの「ヴェゼル」が存在しますが、こちらは国内生産モデル。また、ヴェゼルにはエンジン車だけではくハイブリッドもありますし、FFと4WDを選ぶことができます。値段もヴェゼルの方が高いので、完全に兄貴分という存在になります。

 逆に新型WR-Vの良いところは、見栄えがよく、室内が広くて、しかも安いということでしょう。弱点は、ヴェゼルとの比較でもわかるように、WR-Vはエンジン車のみ&FFのみというバリエーションの少なさとなります。

新型WR-Vのライバルとは?

 そんな新型WR-Vのライバルは、どんなクルマがあるのでしょうか? 

2024年3月に発売されたホンダの新型コンパクトSUV「WR-V」

 名前を挙げれば、トヨタの「ヤリスクロス」、「カローラクロス」、日産「キックス」、マツダ「CX-3」、スバル「クロストレック」といったもの。「WR-V」の属するコンパクトSUVは、競合ひしめく、まさに激戦区です。

そこで「WR-V」と各ライバルのサイズと価格を比較すると以下のようになります。

「WR-V」 全長4325×全幅1790×全高1650㎜ 209万8800円〜248万9300円
「ヤリスクロス」 4180×1765×1590mm 190万7000円〜315万6000円
「カローラクロス」 4490×1825×1620㎜ 218万4000円〜345万9000円
「キックス」 4290×1760×1605㎜ 299万8600円〜348万1500円
「CX-3」 4275×1765×1550mm 227万9200円〜343万4200円
「クロストレック」 4480×1800×1575mm 266万2000円〜328万9000円
「ヴェゼル」 4330×1790×1590㎜ 239万9100円〜341万8800円

 ライバルに比べて新型WR-Vは、もっとも背が高いのが特徴です。そして価格が安いことも特徴でしょう。

 サイズ感的には、最大となるカローラクロスに次ぐ大きさが新型WR-Vです。

 そして価格的にはヤリスクロスに次ぐ安さが新型WR-Vとなります。サイズと価格だけで考えると、トヨタのヤリスクロスとカローラクロスという売れっ子にも新型WR-Vは、勝負できるポテンシャルがあると言えるでしょう。

 見栄えが良くて安いというのであれば、WR-Vの人気が高いのも当然のこと。スタートダッシュ成功の理由は、そこにあるのではないでしょうか。

 ちなみに筆者的に思うのは、ほぼ同じ車格のヴェゼルがあるのに、WR-Vという新型車を平気で投入してしまうホンダの姿勢に驚きました。

「既存の枠を自ら突き破って、新たな境地を目指す」という、まさにホンダらしい1台ではないでしょうか。