女性にとって、生理前はさまざまな不調が現れやすいもの。そうした心身のさまざまな症状は「PMS」(月経前症候群)にあてはまることが多いが、個人差の域を超えて重い精神症状が引き起こされるのが「PMDD」(月経前不快気分障害)と呼ばれるものだ。Instagramで子育てエッセイ漫画を発表し人気を博すホッター(@hotter_jr)さんもPMS、そしてPMDDに長年悩んだという。

2023年に公開されたエッセイ漫画「PMDDにふり回されて」は、新卒で働き始めPMSを知ってから、自分の不調がPMSであると同時にPMDDだったと気づくまでの苦悩の日々を振り返った作品だ。同じように悩んでいる人の役に立ちたいという思いで描いたという同作の制作背景について、作者のホッターさんに話を訊いた。

――「PMDDにふり回されて」を描いたきっかけについて、あらためて教えてください。

【ホッター】PMDDのことをやっと客観的に見られるようになってきた1年ほど前からこの題材を描こうと構想していました。「いつかこの経験を漫画にして、PMS/PMDDの認知度を上げたい。また、すでにPMS/PMDDで苦しんでいる方に『1人じゃないよ』と伝えたい」と思って描きました。

――PMS/PMDDに関する情報や、体験談などはまだあまりないものなのでしょうか?

【ホッター】そうですね…。調べれば出てくるのですが、どちらかと言えば自分がPMS/PMDDで生活に支障が出ていると気づくまでに、時間がかかる方が多いような気がします。

――PMS/PMDDをテーマに取り上げて作品を描く中で意識したことや、伝えるために漫画制作の中でこだわった点はどんなところですか?

【ホッター】できるだけ、そのときに感じたこと、思ったこと、考えていたことをオブラートに包まず出していくことを意識しました。また、作品の中だと、黒い波に飲み込まれるシーンなどのように、漫画だからできる表現で伝えるようにしました。

――長く苦しい時間を過ごされたと思いますが、作品を描いて感じたことや、PMDDを振り返ってあらためて気づいたことがあれば教えてください。

【ホッター】タイトルにもあるように、私の場合、月の半分はPMDDに人生を振り回されてきたように思います。学生生活や就活、仕事から家庭に至るまで、月の半分が抑うつの波に飲まれていたので、何もうまくいかず、本当に苦しかったなと感じます。自分が弱いわけでも、甘えているわけでもないことに気づき、もっと早く受診していればと思っています。

取材協力:ホッター(@hotter_jr)