こんなに走りやすいのに30キロって遅くね? 道路の「最高速度」の決め方を知れば「守らなきゃ」の意識が芽生える!

この記事をまとめると

■道路は危険防止・交通の安全と円滑・障害の防止などを目的に速度規制がされている

■道路は法律によって12の区分に分けられ基準速度も決められている

■速度規制の情報からその場所の交通量や危険性を判断して安全運転に活かしたい

道路には明確な区分と基準速度がある

 道路では速度や通行止めなど、さまざまな規制がされています。なかには、「なぜココにこんな規制があるの!?」と疑問に感じる規制もあるでしょう。今回は、数多くある規制のなかから、速度規制をピックアップします。運転者に身近な速度の規制はどのようにして決まっているのか、規制速度から予想できることなどを解説します。

速度が規制されている理由

 道路を走行する車両は、法律に定められている速度や道路標識などによって規制されている速度を超えたり下まわったりする速度で走行してはなりません。

 そもそも、車両に対して最高速度や最低速度が規制されているのは、次の3つの目的があるためです。
・道路における危険防止

・交通の安全と円滑を図る

・道路の交通に起因する障害の防止

※参考:警察庁「交通規制の目的」
これらの目的を実現するために速度が規制されています。

 目的は理解できたとしても、実際の交通社会において、車両の運転者の多くは、最高速度について気にすることが多く、速度超過で取り締まられることを恐れているのではないでしょうか。

 道路において最高速度が規制されている理由・目的は、警察庁が公開している「交通規制基準」に明記されています。交通規制基準によると、「最高速度の規制は、車両の最高速度を指定し、均一な交通流を確保することにより、交通の安全と円滑を図り、併せて道路交通に起因する障害を防止する」となっています。

 また、生活道路など区域を指定して行う速度規制の目的は「区域を指定して行う最高速度の規制は、地域全体について走行速度を抑制し、交通の安全と円滑を図り、併せて道路交通に起因する障害を防止する」とのことです。

 いずれも、交通の安全と円滑を図るために最高速度が規制されています。

基準となる速度

 規制されている速度には基準があり12に区分されています。区分ごとの基準速度(区域と自動車専用道路および高速自動車国道を除く最高速度)は次のとおりです。
■区分「1」=市街地(人口集中地区)/車線数:2車線/歩行者交通量:多い/基準速度:40km/h

■区分「2」=市街地(人口集中地区)/車線数:2種線/歩行者交通量:少ない/基準速度:50km/h

■区分「3」=市街地(人口集中地区)/車線数:4車線以上/中央分離帯:あり/歩行者交通量:多い/基準速度:50km/h

■区分「4」=市街地(人口集中地区)/車線数:4車線以上/中央分離帯:あり/歩行者交通量:少ない/基準速度:60km/h

■区分「5」=市街地(人口集中地区)/車線数:4車線以上/中央分離帯:なし/歩行者交通量:多い/基準速度:50km/h

■区分「6」=市街地(人口集中地区)/車線数:4車線以上/中央分離帯:なし/歩行者交通量:少ない/基準速度:50km/h

■区分「7」=非市街地(人口集中地区以外)/車線数:2車線/歩行者交通量:多い/基準速度:50km/h

■区分「8」=非市街地(人口集中地区以外)/車線数:2車線/歩行者交通量:少ない/基準速度:60km/h

■区分「9」=非市街地(人口集中地区以外)/車線数:4車線以上/中央分離帯:あり/歩行者交通量:多い/基準速度:60km/h

■区分「10」=非市街地(人口集中地区以外)/車線数:4車線以上/中央分離帯:あり/歩行者交通量:少ない/基準速度:60km/h

■区分「11」=非市街地(人口集中地区以外)/車線数:4車線以上/中央分離帯:なし/歩行者交通量:多い/基準速度:50km/h

■区分「12」=非市街地(人口集中地区以外)/車線数:4車線以上/中央分離帯:なし/歩行者交通量:少ない/基準速度:60km/h

※車線数:上下線の合計。3車線の場合は、2車線の基準速度に準じて設定
※中央分離:物理的施設(縁石、柵等)により判別し、チャッターバーやポストコーンによるものは「分離なし」とする
※歩行者交通量:規制速度決定時点で最新の道路交通センサスのデータを使用。なお、道路交通センサスのデータがない道路においては、実測によるものとし、新設道路においては道路交通環境が類似した道路の歩行者交通量を参考とする
※歩行者交通量多い:市街地701人/12h以上 非市街地:101人/12h以上
※歩行者交通量少ない:市街地700人/12h以下 非市街地:100人/12h以下
このように、市街地かどうか、車線数がどのくらいか、中央分離帯の有無、歩行者交通量によって、最高速度の基準が決まっています。

最高速度が「低め」の道路は事故が起こりやすいと判断もできる

生活道路に30km/h制限が多い理由とは?

 生活道路では、最高速度30km/h制限の道路をよく見かけます。30km/hに定められているのにも明確な理由があります。

 警察庁が公表している「交通規制基準」によると、「生活道路における速度規制については、歩行者・車両の通行実態や交通事故の発生状況を勘案しつつ、住民・地方公共団体・道路管理者などの意見を十分に踏まえて、速度を抑えるべき道路を選定する」こととなっており、「生活道路の最高速度は30km/hを原則とする」とされています。このような基準があるため、住宅街や家が立ち並ぶ道路の最高速度は30km/hになっているのです。

速度の規制は交通状況によって変わる

 速度の規制は、基準となる速度をもとにしながら、現場状況に応じた補正が行われます。そのため、最高速度が上方修正されたり下方修正されたりすることがあります。

 また、曜日・時間や季節に応じて、規制の内容が変更されることもあるため、場所によっては時間帯・曜日別の規制に注意しなければなりません。

速度規制から危険予測ができる

 速度の規制は、交通の安全と円滑を図るためにされています。つまり、最高速度が抑えられている場所は、交通事故が発生しやすい環境である可能性が高いといいかえることができます。よって、最高速度の規制は、運転に重要な危険予測のヒントになると考えることもできるでしょう。

 このように、最高速度の決め方を知ると、危険予測にも役立つだけでなく、「速度を守って安全運転する」という言葉も少し違う意味に聞こえるのではないでしょうか。

 交通事故を起こさないためにも、速度を守り、周囲への目配り・気配りをして、事故を未然に防ぐ運転を心がけることが大切だと言えるでしょう。