クルマで走行中に霧や吹雪で前が見えない! いくらハザードを点けても「その場で停車」は危険だった

この記事をまとめると

■走行中に霧や雪、ガスなどに包まれて視界が真っ白になることがある

■筆者が少しでも安全な対処法を伝えている

■見えないからとその場で停車するのは危険な行為

ホワイトアウトに打つ手なし

 2024年3月1日に、長野県小諸市の上信越道上り線で、走行中のクルマが次々に追突し、合わせて48台が絡む交通事故があった。事故当時、現場には濃い霧が発生していたとみられ、その日は気象庁から濃霧注意報も出されていた……。

 霧や雪、ガスなどに包まれて視界一面が真っ白になってしまう現象のことを「ホワイトアウト」というが、ホワイトアウトになったら基本的に打つ手はなし。安全な場所に避難して、視界が回復するのを待つしかない。

 雪に関しては、天気予報を事前によくチェックして、天気が荒れそうなときは外出を控える。

 霧は昼夜の寒暖差が大きく、湿度の高い、春先や秋口に発生しやすい。

 地域別に見ると、風の抜けにくい盆地や、標高の高い山間部、平地でも川や湖のそばや、田んぼの多いところ、海の近くも空気中の水分量が多いので霧が出やすい場所といえる。

 気象庁では、水平方向に見通せる距離を「視程」といい、その視程が100m未満になることを「濃霧」と呼ぶ。

 JAFのテストでは、この視程が60mの濃霧になると、前方のクルマがテールランプを点けていたとしても、昼間で40m、夜間で60mの距離まで近づかないと前のクルマに気がつかないというデータがあり、この状況で走り続けるのは本当に危険。

 ゆっくり走れば大丈夫、と思うかもしれないが、仮に30km/hまで減速しても、クルマは1秒間8.33mも動いてしまうからだ。

最徐行で安全な場所まで避難

 もし、走行中、霧が出てきたと感じたら、ヘッドライトとフォグランプ(あればリヤフォグランプ)を点けたうえで、速度を十分に落として、車間距離をたっぷりあけること。

 このとき、ハイビームにすると、ライトの光が霧に当たって乱反射して前方が真っ白になり、かえって視界が悪くなるので、ヘッドライトはロービームを使うのが鉄則。

 あとはセンターラインに寄り添うようにゆっくりと進む。

 ガードレールなども目安にはなるが、なるべく道路中央付近に視線を置いておきたいので、道路の外側よりもセンターラインを辿っていくのがおすすめだ。

 助手席に同乗者がいれば、カーナビの画面を見てもらって、「しばらく直進」「もうすぐ右コーナー」「左に緩やかなカーブ」などと、ナビゲートしてもらうのもいいだろう。

 本当に視界が悪いときは、上記に加え、ハザードランプも点滅させながら、最寄りの安全な場所(SAやPA、レストランやコンビニ、その他の商業施設など)まで最徐行しながら避難するしかない。

 どんなに霧が濃くても、道路上や路肩への停車するのは、追突される恐れがあるので厳禁だ。

 ホワイトアウトになると、視界が悪いだけでなく、距離間もかなり狂うし、平衡感覚も鈍くなるので、「なんとかなるだろう」「大丈夫」と安易に考えないことが一番肝心。

 気象庁では「濃霧のため、交通機関に著しい障害が起こると予想される場合」に、濃霧注意報を発することになっているので、この季節、出かける前に気象アプリで、濃霧注意報が出ていないか確認し、場合によっては出発時間をずらしたり、ルートを変更するなどして、霧を避けるのが最適解。

「待てば海路の日和あり」のことわざどおり、焦らず視界が回復するのを待つようにしよう。