「うっかり忘れた」「面倒で無視した」は通用しない! リコール対策を放置して事故が起こったらユーザーにも責任アリ!!

この記事をまとめると

■「リコール制度」は不具合による事故を防ぐために生み出された

■ユーザーがリコール対象の車両で対策前に事故を起こした場合の責任について解説

■ユーザーは車両の安全を維持する義務を常に負っているため一定の責任を負う可能性がある

クルマの安全性を担保するために生み出された制度

 クルマは3万点に達するパーツを使う精密機械で、しかも車種によっては1カ月に1万台を軽く超える台数が大量生産されている。その精密機械が人の運転によって街なかを移動するため、品質に不具合が生じると、甚大な交通事故を引き起こす可能性を秘める。クルマは便利で快適なツールとして、多くの人達が日常的に使用しているが、その一方では危うさも秘めているわけだ。

 従って不具合の危険が生じたときは、いち早く公表して、安全のために必要な措置を講じなければならない。そこで生み出された制度がリコールだ。設計や製造過程で問題が生じたとき、製造メーカーが国土交通大臣に届け出を行い、回収と修理を行うことで事故を未然に防ぐ。

 リコールの発生は好ましいことではないが、それをむやみに責めることは控えたい。リコールをことさらに問題視して責めると、リコール隠しという、安全をさらに脅かす重大な犯罪の発生に繋がるからだ。設計や製造において車両の不具合が発覚したときは、リコールを迅速に行い、回収と修理を行うことで、事故を防ぐことを最優先させねばならない。

届け出を無視したらユーザーにも責任が問われる!

 そこで気になるのがユーザー側の対応だ。仮にリコールの通知を受けながら、放置しておき、それによって事故が発生した場合はどうなるのか。リコール専門の問い合わせ窓口では、以下のように返答した。

「リコールが生じた直後に、その不具合が原因で事故が発生したときは、製造メーカーの責任になる可能性が高い。しかし、リコールの通知を受けるなど、ユーザーがその発生を知りながら長期間放置した場合は、ユーザー側に責任が生じる可能性もある。なぜならユーザーは、道路運送車両法において、自分の車両が道路運送車両の保安基準を満たすように維持する義務を負っているからだ」

「つまり、リコールを知りながら回収と修理に応じないことは、保安基準を満たすように維持する義務の不履行に該当する。実際にはユーザーがリコールに対応せずに事故が生じた場合でも、メーカーの責任は生じるが、同時にユーザー側の責任も問われることになる」

 このように注意が必要なのは、保安基準に関するユーザーの義務だ。リコールに限らず、たとえばブレーキパッドやタイヤの摩耗したときの交換なども含めて、ユーザーは車両の安全を維持する義務を常に負っている。タイヤの交換もリコールも基本は同じで「忘れていた」では済まされない。