大型トラックに休憩義務はあれどSA・PAは慢性的な駐車枠不足! 対策で出てきた「駐車有料案」はハッキリいって愚策そのもの!!

この記事をまとめると

■トラックドライバーには一定時間ごとの休憩が義務づけられている

■SA・PAにおいてトラック用の駐車スペースは慢性的な不足状態が続いている

■SA・PAの敷地拡大や増設のみならずさまざまな側面から対策を講じるべきだ

SA・PAの有料化は意味をなさないだろう

 トラックステーションが減少傾向にある一方で、高速道路網が充実してSA・PA(サービスエリア・パーキングエリア)が増え、リニューアルにより駐車スペースも拡大されているところも増えた。しかしながら、トラック用の駐車スペースはいまだに慢性的な不足状態が続いている。

 SA・PAのトイレなどには、加減速車線などへの駐車は法令違反で危険行為だという表示もされているが、パーキングスペースから溢れ出たトラックは、休憩時間を確保するためにも、どこかに止めなければならないから、改善する傾向はいまだに見られない。

 そんななか、高速道路を運営するNEXCO各社は、SA・PAの渋滞緩和策として、一定時間以上の滞在を有料とする案を打ち出してきた。現時点では乗用車は2時間、大型トラックは10時間までを無料として、それを超えたら有料とするというものだが、10時間以上駐車している大型トラックなど非常に少数派だろう。

 つまり、現在検討されている案では、大型トラックの駐車スペース不足には何の解決にもならない、ということになる。もちろんそれ以外にも対策は検討されていて、時間帯によって利用率が異なる乗用車と大型トラックの兼用マスの導入や、駐車スペースの拡大なども実施されてきた。

 また、立体駐車場の導入なども検討されているようだが、出入り口はさらに渋滞が激化することも予想されるから、あまり良い解決策とはいえないだろう。

トラックドライバーが休憩をとる場所の提供を

 乗用車のドライバーも適度な休息は必要だが、トラックドライバーの場合、4時間ごとに30分の休憩が義務づけられ、4月からは13時間働いたら8時間は連続して休憩しなければならなくなっている。高速道路の利用料金を徴収している以上、休憩のスペースを提供するのは当然のことだろう。

 現在のSA・PAの敷地を拡大したり、新たなPAを増設するだけでなく、高速道路を一度下りて、再度乗り入れても初乗り料金を徴収しないよう、ETCのシステムを見直すなど、まだまだできることはある。

 一般道を利用できれば、道の駅や大きなコンビニで休憩することもできるし、高速道路のインターチェンジ付近にも、そうした民間の駐車スペースが増殖する可能性も出てくる。

 NEXCO各社にとっても物流の要であるトラック輸送を支えることは、高速道路の存在理由として必須の条件であるはずだ。高速道路料金を徴収している以上、SA・PAの有料化は実質値上げに相当する。SA・PAの利用者数が減れば、入っているテナントも売り上げが減少してしまうリスクも生じる。

 高速道路の借金は建設費用に加えて、今後のメンテナンス費用も計上したことで、償還期間が延ばされ、無料化されるのは2115年(!)と、事実上無料化は撤回されたも同然の状態になった。現状の危険な状態を解消するのであれば、もっと利用者に沿った解決策を考えてほしいものだ。