2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」では、大津波警報が発せられたほか、大規模な火災も発生し、安否不明者も多数に上る大きな被害をもたらした。

能登半島地震では、家屋倒壊の被害が目立つ(2024年1月2日、石川県七尾市。ロイター/アフロ)

 その中で、筆者の目を引いたのが震源に近い地域における家屋倒壊の被害の大きさである。1月11日現在では、家屋全壊・死者数とも石川県が最も多い。特に死者の地域別内訳では、珠洲市が91人、輪島市83人と多くなっている。

(出所)令和6年能登半島地震による被害状況等について(令和6年1月11日07:45現在)

 そこで今回は、家屋の倒壊に注目し、石川県内および全国の家屋の耐震の状況についてみてみることとする。

耐震建築基準の歴史

 今回の能登半島地震で各地の避難所に多数の被災者が避難していることは、報道にみられるとおりである。1月11日午前7時45分時点でのとりまとめによれば、新潟県、富山県、石川県において400箇所以上の避難所が設置され、2万6000人以上の避難者が発生している。

出所:令和6年能登半島地震による被害状況等について(令和6年1月11日07:45現在)

 このことは、地震による家屋の被害が大きいことを反映しているといえる。そこで、まず耐震基準の制度的変化を歴史的に確認する。

 家屋の建て方に関するルールは建築基準法によるが、この法律は古く1950年に制定された。その後、68年に十勝沖地震が起こり71年に建築基準法施行令が改正され、耐震基準が改められている。さらに、81年に78年の宮城県沖地震をうけて再度耐震基準が改正され、これ以降の耐震基準を「新基準」と呼んでいる。そして住宅の倒壊が多かった95年の阪神・淡路大震災を踏まえ、2000年には木造住宅の耐震基準が強化された。

 そこでここでは、石川県と全国の住宅の建築時期と耐震工事の有無に関する統計を用いて、被害の大きさの原因や今後の防災対策を展望することとしよう。