世界的なパンデミックのなかで開催されたドバイ万博

ドバイ国際空港から地下鉄で約1時間強、終着駅のDUBAI EXPO2020の最寄に位置する万博会場の跡地は、人影こそまばらだったものの、まだまだ開催当時の雰囲気を濃密に漂わせていた。

ドバイ万博は2021年10月1日から2022年3月31日の期間、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイで開催された国際博覧会(登録博)である。参加国/国際機関は192に、会期中の入場者数は約2,400万人に達した。当初目標の2,500万人にはわずかに届かなかったが、当初の予定より1年遅れの上、コロナウイルスの感染拡大中の開催であったことや、開催国であるUAEの総人口が約989万人であることを考えれば、この数字は十分盛況の部類といえるだろう。

ドバイ万博の開催が決定したのは、2013年11月27日のBIE(博覧会協会)総会においてである。この総会には、2020年万博の招致を目指して他にイズミル(トルコ)、エカテリンブルク(ロシア)、サンパウロ(ブラジル)の3都市が立候補していたが、中東初という大義名分と豊富な資金力を背景に、当初から本命視されていたドバイは終始有利に招致戦を進め、エカテリンブルクとの決選投票を116vs47の大差で制して招致に成功した。

招致に成功したドバイが、重要なPRの機会として位置付けていたのが2015年のミラノ万博であった。この万博に参加したUAEは自国のパビリオンで、スマホを携帯した現代の少女が遊牧生活を送っていた祖父母の時代へとタイプスリップするという映像によって砂漠から都市国家へと急激に発展していった軌跡を辿り、大規模なソーラーパークの様子を紹介し、豊富な石油/天然ガス資源に安心することなく、エネルギー政策にも取り組んでいることを訴えていた。

もちろん、自国開催の万博のPRにも余念がなく、この展示を見た私は、5年後はぜひここを訪れてみたいと思ったことを覚えている(結果的にそれが実現したのは、そのさらに2年半後であったが)。

※本稿は、モダンタイムズ(https://www.moderntimes.tv/)に掲載された記事の抜粋です(この記事の全文を読む(https://www.moderntimes.tv/articles/20230420-01-expo/))。
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