大切な人や自分を守ってくれる、身に付けるだけで気分が上がる、そんなお守りのような存在、誕生石。2021年12月には63年ぶりに日本の誕生石が改定され、新たに10石が追加、全29石になりました。この連載では、そんな新・誕生石の特徴や魅力を紹介します。5月は「エメラルド」と「ヒスイ」です。

5月の誕生石は何?

5月の誕生石は、「エメラルド」「ヒスイ」の2種類です。その特徴や意味を紹介します。

エメラルド(石言葉:幸福・健康・幸運)

クレオパトラが最も愛した宝石。初夏の力強い植物の色合いで眼を癒してくれる

エメラルドは緑色のベリルの事です。結晶の形が柱状に成長するため和名で緑柱石と呼ばれています。エメラルドは古代から現代まで世界中で愛されている宝石です。紀元前には既に宝石として取引されていたと言われており、エジプトにはクレオパトラ女王が所有していたといわれるエメラルド鉱山が残っています。

エメラルドは様々な効用があるとされています。特に緑色が目を癒すといわれています。一般にコロンビアで産出されるものが最良とされていますが、アフリカのザンビア産、ブラジル産も人気があります。エメラルドは内容物(インクルージョン)に産地の特徴がある宝石です。

ヒスイ(石言葉:永遠・健常・権威)

強く硬い意思を持つ、日本の国石

ヒスイは日本にとって非常に重要な宝石です。縄文時代から勾玉や様々な装飾品として加工されてきました。靭性(粘り強さ)が宝石の中で最も高く、ダイヤモンドの硬さとは異なる強さを持ちます。そのため古代ではヒスイの斧などが使われていました。

淡い藤色はラベンダーヒスイと呼ばれ、またアイスジェイドと呼ばれる白く半透明なヒスイも存在します。半透明で美しい緑色のヒスイはインペリアル・ジェイド(ろうかん)と呼ばれています。

2016年には、ヒスイが日本の国石に選定されました。世界で一番古いヒスイの装飾品が発掘されたのは日本です。縄文時代の遺跡から発掘されており、約1万年前とも言われています。そのため、日本の国石になり得たのかもしれません。

(文:株式会社 明治堂 会長 望月英樹、写真:協同組合山梨県ジュエリー協会)