夫婦が離婚を前提とした別居をしようとするとき、その前に今後のことを話し合う機会を持つことは理想です。しかし、話し合いをせずに別居する人も少なくないようです。また、子どもがいる場合には争いになる可能性も。今回は法務省が実施した「協議離婚に関する実態調査」をもとに、別居に際しての話し合いに焦点を当てて見て行きます。

離婚のあり方として、別居を経たうえで正式に離婚するケースは珍しくないでしょう。実際に離婚前に別居した経験を持つ人の声を知ることができるのが、法務省が全国の協議離婚(※)を経験した30代および40代の男女1,000人を対象に行った実態調査です。それによると、別居するうえでやはり子どものことは争点になりやすいことが見えてきました。

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(※)協議離婚とは裁判所を通さず、夫婦間の話し合いによる合意で離婚条件を取り決め、離婚届の提出をもって成立する離婚です。最も一般的な方法といえます。

離婚前の別居、約3人に1人は「話し合い」なし

まず、離婚前に別居をしたと回答した430人を対象に、別居することを決めたときに「相手と話し合いをしたか」を尋ねた結果ですが、「別居前に話し合いをした」と回答した人は66.3%、「別居前に話し合いをしていない」と回答した人は33.7%でした。別居をする前に話し合いをした人が多数派のようです。

別居した相手と話し合わなかった理由はなぜですか。一番近いものを教えてください。 ―法務省「協議離婚に関する実態調査」より一部改変

話し合いをしなかった理由|「相手と話すことがいやだった」が4割近く

では、話し合いをしなかった人には、どのような理由があるのでしょうか。最も多かったのが「話をすることがいやだったから」(37.9%)でした。次いで、「突然出て行った/追い出されたから」(33.8%)が続きます。この二つが主だった理由であることがわかります。そのほか、「相手が応じなかったから」が13.1%でした。

「話をするのがいやだったから」という人は、おそらく、きちんと話し合った方がいいことは理解しつつも、話したくないという心理の方が強かったのでしょう。それほど夫婦関係が悪化していた人が、意外と多いことに驚かされます。また、「DVや子どもへの虐待等の問題があり話をする余裕がなかったから」(4.1%)や「話をすることが危険だったから」(4.1%)など、なかには切羽詰まった状況もあることがわかります。

別居した相手と話し合わなかった理由はなぜですか。一番近いものを教えてください。 ―法務省「協議離婚に関する実態調査」より一部改変

子どもとの同居に関して争いがあった人は4割以上

話し合いで揉めやすいことの筆頭といえば、やはり子どものことでしょう。本調査の回答者は全員子どものいた夫婦ですが、別居にあたって、どちらが子どもと暮らすのかについて争った人はどのくらいいるのでしょうか?

回答を見ると、「なかった」が55.8%で半数を超えています。一方、残りの44.2%は争いが「あった」ということになりますが、なかでも「激しくあった」が12.8%と1割を超えているのは気になります。別居や離婚でどちらが子どもと一緒に暮らすのかは、やはり争点になりやすく、合意が一筋縄ではいかないことを改めて実感する結果です。

別居に当たって、あなたと相手のどちらが子どもと暮らすかについて、あなたと相手との間で争いはありましたか ―法務省「協議離婚に関する実態調査」より一部改変

子どもとどちらが同居することになったか

話し合いの結果として、子どもがどちらと暮らすことになったかに関しては、全ての子が自分と暮らすという人が47.4%、全ての子が相手と暮らすという人が45.1%となりました。また、「子によって異なる 」(4.2%)や「自分と相手の家を行き来した」(2.3%)という回答も少数ながら見られました。

別居に当たって、子どもはどちらと一緒に住むことになりましたか ―法務省「協議離婚に関する実態調査」より一部改変

まとめ

離婚を前提とした別居をしようとしたとき、やはり気になるのが子どもの存在です。子どもがどちらの親と暮らすのかを争うことは、なるべく避けるべきではあるものの、難しいのが現実のようです。両親が別れて暮らすことになったと聞いて、ショックを受けない子どもはいないでしょう。お互いの主張が対立すると冷静さを失いやすいですが、落ち着いた話し合いが行われることが望まれます。

(マイナビ子育て編集部)

調査概要

■協議離婚に関する実態調査/法務省

調査対象:協議離婚を経験した30代および40代の男女

調査時期:2021年3月8日〜10日

有効回答数:1,000(男性:500、女性:500)