歴史的とも言える円安やそれに伴う物価の高騰、社会全体の閉塞感など、長いトンネルが続いているように感じられる昨今。では、人々は今の社会や国の政策に対してどのような思いを持っているのでしょうか? 今回は内閣府が実施した「社会意識に関する世論調査」をもとに、日本人の社会に対する満足度や国の政策への評価をお伝えします。

「社会意識に関する世論調査」は、内閣府が昭和43年度から毎年行っているものです。今回は令和6年3月に公表された最新の調査結果から、人々の社会に対する満足度をご紹介します。特に子育て世代の回答に注目して見ていきましょう。

社会に満足している人は約50%

まず、「現在の社会に全体として満足しているか」を尋ねた結果ですが、全体では「満足している」(3.4%)、「ある程度満足している」(46.9%)であり、満足している人は全体の約半数の50.3%でした。反対に満足していない人は、「あまり満足していない」(36.3%)、「満足していない」(12.1%)を合わせて48.4%。おおむね半々の割合といえます。

社会全体の満足度 ―内閣府「社会意識に関する世論調査」より

30代では「満足している」が約35%と低い

さて、これを年齢別に分類したデータを見ると、30代以上は年齢が上がるほど満足度も高くなっていく傾向にあります。60代以上は全体平均よりも「満足している」人の割合も多いことがわかります。

反対に、それより若い世代は「満足している」人が全体平均を下回っており、特に目立つのが、子育て世代にも該当する30代の低さです。「満足している」「ある程度満足している」と回答した人は35.5%にとどまっています。さらには「満足していない」人が24.7%と、他の年代と比べて特に多いのも特徴的です。

75%以上が「民意反映されていない」

40代以下の世代で、社会への満足度が低い傾向にあることがわかりましたが、次に、国の政策に対する評価について、回答を見てみましょう。

まず、全体の結果ですが、「国の政策に国民の考えや意見がどのくらい反映されていると感じているか」との設問に対し、「かなり反映されている」(1.1%)、「ある程度反映されている」(21.4%)が合わせて22.5%。一方、「あまり反映されていない」(49.6%)、「ほとんど反映されていない」(26.1%)は合わせて75.7%と多くの人が国の政策を評価していないことがわかります。

また、前回調査と比較すると「反映されている」と感じている人が約4ポイント減少し、「反映されていない」と感じている人がその分、約4ポイント増えました。

国の政策への民意の反映程度 ―内閣府「社会意識に関する世論調査」より

30代では約9割が「反映されていない」

これを年齢別に見ると、やはり若い世代ほど民意が反映されていないと感じているようです。

民意が「反映されていない」と感じている人が最も多いのは30代で、89.8%と約9割に及ぶほど。「反映されていない」という人が最も少ない70歳以上と比べると、その差は約30ポイントもあります。さらに言うと、唯一「ほとんど反映されていない」(46.8%)が「あまり反映されていない」(43.0%)を上回っているのも、30代の顕著な特徴です。

また、18歳〜29歳の若者世代や40代も、「ほとんど反映されていない」という声が35%以上と多くなっています。子育て世代やこれから子育てをしていく世代が、政策に厳しい評価を下していることが浮き彫りとなる結果でしょう。

まとめ

子育て世代の不満は大きい

今回の調査結果では、高齢者はある程度、今の社会に満足しており、国の政策にも一定の評価をしていることがわかりました。しかしその一方で、いわゆる子育て世代や働き盛りと言われる世代の人々は不満が大きいようです。少子化対策が叫ばれているものの、実際の暮らしが政策でよくなっている実感を持てない人が多いのでしょう。年齢によって感じ方に大きな差が生まれていることがわかる結果でした。

(マイナビ子育て編集部)

調査概要

■社会意識に関する世論調査/内閣府

調査対象:18歳以上の日本国籍を有する男女3,000 人

調査時期:令和5年11月16日〜12月24日

有効回答数:1,714

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