赤ちゃんのおちんちんの正しい洗い方やケア方法など、意外とわからないですよね。そこで、『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社)の著者であり、助産院でママパパ向けに「おちんちん講座」を開催されている泌尿器科医の岡田百合香先生にお話をうかがいました。

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Okdai

お話をしてくださった方
岡田 百合香 先生
(泌尿器科医)

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「おちんちん講座」を始めたワケ

――岡田先生は、保護者向けに「おちんちん講座」を開かれているそうですが、始めたきっかけを教えてください。

岡田百合香先生(以下、岡田) 私自身が産後にお世話になった助産師さんから「赤ちゃんのママやパパが、おちんちんの正しい知識を求めている」と聞いたのがきっかけです。最初は半信半疑だったのですが、実際に助産院に依頼されて講座を開いたところ大好評だったんです。

――おちんちんのこと、なかなか教わる機会がありませんもんね。

岡田 そうなんです。男性であるパパでも、おちんちんについて正しく教わる機会は少なかったと思います。ましてママの場合は、自分にない器官なのでわからないことが多いですよね。大切なお子さんの体のことですから、心配されるんだろうと思います。

保護者から寄せられるお悩み

※画像はイメージです

――保護者の方からはどのような質問が多く寄せられるのでしょうか?

岡田 よく聞かれるのは「おちんちんが小さいのではないかと心配です」「どうやって洗ったらいいですか」「赤くなっていたらどうしたらいいでしょうか」「よく触っていて気になります」あたりでしょうか。

――どれも気になる質問です。一つずつ伺ってもいいでしょうか。

岡田 もちろんです。

おちんちんの大きさ、いつ成長する?

岡田 まずは、おちんちんのサイズの話から。赤ちゃんの時に小さいのは普通のことですが、当然ながら個人差はあります。性分化疾患などで明らかに小さい場合は、出生時や健診時に指摘されますから、そうでなければ基本的には気にしなくても大丈夫です。心配であればかかりつけの小児科で相談してみてください。

――おちんちんは、いつ成長するものでしょうか?

岡田 少しずつ大きくなりますが、著しく成長するのは男性ホルモンの分泌が増える第二次性徴期でしょう。何cmあれば標準という基準値はありますが、しっかり引っ張って伸ばした状態で測る必要がありますから、家庭で正確に測るのは難しいと思います。心配な場合は、病院で相談してみてください。

正しい洗い方は? いつから自分で洗う?

――おちんちんの正しい洗い方ってありますか?

岡田 子どもの肌の状態によっても最適な洗い方は多少変わってきますので、万人にとっての正解にこだわる必要はありません。基本的には、おちんちんの先端以外は体のほかの部分と同じようによく泡だてたボディーソープなどでやさしく洗いましょう。おちんちんの付け根や陰嚢、太ももとの境い目は汚れがたまりやすいので丁寧に洗うといいでしょう。 

――先端部分はどうしたらいいでしょうか。

岡田 無理のないところまで包皮を下げて亀頭を出し、泡を少しだけつけて、やさしく洗ってください。ボディーソープなどは使わなくてもいいのですが、使った場合は、しっかり洗い流すことが大切です。石けんの成分が残っていると、かゆくなったり痛くなったりとトラブルの原因になります。洗い終えたら、必ず包皮を元の位置に戻しましょう。

――おちんちんはプライベートゾーンですが、いつごろから自分で洗ったらいいでしょうか?

岡田 小さい子でも、何度か繰り返し教えると自分でできるようになります。正しい洗い方を教え、上手に洗えたら少し大げさに褒めることを繰り返してください。息子には3歳頃から伝え始めました。毎回自分で洗えるわけではありませんが、やる気のある時、興味のあるタイミングを見ながら気長にやっていきましょう。

先端が赤い、痛がる…どうしたらいい?

※画像はイメージです

――おちんちんの先端が赤くなることがありますが、どうケアしたらいいでしょう。

岡田 少しくらい赤くなるのはよくあることです。お子さんがいたがったりかゆがったりしていないのであれば、あまり気にせず様子を見て問題ありません。

――痛がっていたり、かゆがっている場合は、どうしたらいいですか?

岡田 病院で診てもらってください。少し赤いだけなら小児科や皮膚科でも大丈夫でしょう。すごく赤くなっていたり腫れていたりする場合には、泌尿器科にかかるといいと思います。言葉を話せない年齢でも、おちんちんをよく触っているとき、気にしているときは何か異常がないか確認してみてください。

自分のおちんちんを触っちゃダメ?

――腫れたりなどしていないのに子供がおちんちんをよく触っているときは、どうしたらいいでしょう。

岡田 子供がおちんちんを触っていると、性的な意味があると誤解されがちです。でも、小さな子供の場合は遊んでいるだけでしょう。女性はあまり知らないと思いますが、おちんちんはすごくよく伸びます(笑)。幼い子が自分のおちんちんで遊ぶのは、よく伸びたりして面白いからというのもあるでしょう。落ち着くから、という理由もあるかもしれません。

――よく「おちんちんは汚いから触らないの!」という風に叱る話を聞きますが……

岡田 おちんちんは特別視されがちですが、肺とか肝臓などと同様に体の一器官です。おしっこも、おちんちんも汚くありません。汚いというのが「危険」という意味であれば、血液や唾液のほうがリスクが大きいんです。大切な器官の一つですから、マイナスイメージを持たせないほうがいいでしょう。

――確かにそうですね。子供にしてみたら自分の体の一部ですし。

岡田 むしろ、汚れた手でおちんちんに触るとよくないので、手を洗ってから触るように教えたほうがいいと思います。また、家の外やほかの人が見ているところでは触らないように教えることも大切です。

――おちんちんについては、パパとママのどちらが教えたほうがいいでしょうか?

岡田 どちらでも構いませんよ。一つだけパパが教えるメリットがあるとしたら、自分のおちんちんを見せることで、大人になると包皮が下がって、おちんちんの先が出てくるなど、どんな状態になるのかも教えることができることでしょうか。体のことを知るって、とても面白いし、楽しいことでもありますから、親子で話してみてくださいね!

(解説:岡田百合香、取材・文:大西まお)

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岡田百合香
この記事の監修者
岡田百合香
愛知県在住。1990年岐阜県生まれ。2014年岐阜大学医学部卒業。愛知県内の総合病院泌尿器科に勤務する傍ら、助産院や子育て支援センターで乳幼児の保護者を対象にした「おちんちん講座」や「トイレトレーニング講座」、思春期の学生向けの性に関する授業などを行っている。WEBサイト「たまひよ」では「ママ泌尿器科医のお母さんのためのおちんちん講座」を連載中。6才男児と2才女児の母。著書に『泌尿器科医ママが伝えたい おちんちんの教科書』(誠文堂新光社)がある。
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