山形市出身の工業デザイナー奥山清行氏が社長に就く「四季南陽」が、南陽市で計画した温泉リゾート開発について、事業の中止を視野に検討していることが19日、複数関係者の話で分かった。同社は市から旧ハイジアパーク南陽を購入し施設改修に加え、宿泊機能を備えた新館を建設する計画を立てたが、資材高騰などを背景に資金調達が困難になったとみられる。

 同社と市は21日に共同記者会見を開き、計画の今後について説明する。山形新聞の取材に対し、同社広報は「計画の現状について会見で明らかにする。市民が不安や懸念を抱くことがないようお答えしたい」と語った。

 同社は2021年9月、旧ハイジアパーク南陽(同年3月閉館)を市から譲り受けた。建物を改修し、隣接地に宿泊施設やマルシェ、ギャラリーなどを備えた新館を整備する計画を立てた。市との契約で2年後までに営業を開始する方針だったが、22年8月に当初計画を変更。建築資材の高騰などを理由に新館の営業開始を23年9月から3年ほど延期すると発表した。

 一方、旧ハイジアパークは23年秋のオープンを目指すとしたが、同年8月に施設床材に使われていた接着剤からアスベスト(石綿)が検出されたと公表。現在までオープンに向けた道筋は示されていない。

 同社は「南陽の世界ブランド化」を掲げ、温泉リゾートの再生を表明。世界的に活躍する奥山氏と建築家の隈研吾氏、鶴岡市のイタリアンレストラン「アル・ケッチァーノ」の奥田政行オーナーシェフが組み、話題を集めた。