男子テニスのマスターズ1000大会「マイアミ・オープン」(3月20日〜31日/アメリカ・マイアミ/ハードコート)で、今季3勝目を飾った22歳のヤニック・シナー(イタリア/現2位)のコーチを務めるダレン・ケーヒル氏(オーストラリア)が、決勝戦後のメディアの取材で愛弟子のさらなる成長に期待を寄せた。
1月の全豪オープンで悲願の四大大会初優勝、さらには2月中旬の「ABNアムロ・オープン」(オランダ/ATP500)でも優勝を飾ったシナー。今大会も好調を維持して勝ち上がり、決勝でも元世界3位のグリゴール・ディミトロフ(ブルガリア/現9位)に6-3、6-1のストレートで快勝。昨年8月の「ナショナル・バンク・オープン」(カナダ)以来となるマスターズ2勝目を手にするとともに、自己最高の世界2位へと浮上した。
今季はここまで通算22勝1敗という数字を残していることを考えれば、いかにシナーの強さが際立っているかは一目瞭然だ。マイアミ決勝でも圧巻のプレーを披露した22歳の若武者に名将ケーヒル氏も「今日の彼のレベルは素晴らしかった」と賛辞を惜しまない。
それでもケーヒル氏は、まだまだ伸びしろのあるシナーだからこそここで満足はしてほしくないと考えている。「彼はもっと良くなれる」と期待の言葉を口にした同氏は、長年トップを走り続けるプレーヤーであっても努力を怠らないと強調し、次のように続けた。
「進化が進み、歳を重ねながらより強く、より速く、より賢くなるにつれて、それら全ての要素が彼(シナー)のゲームに取り入れられていくと思う。我々はサービスやテンポの速い試合展開でのプレー、チェンジ・オブ・ペースになるバックハンドのスライス、フォアハンドの打ち分けや、リターンの改善に取り組んできた」
またケーヒル氏は、過去に指導していた元世界王者のアンドレ・アガシ氏(アメリカ)が、ベテランになってからも常に勝ちへのこだわりを見せていた姿を回顧。その上で改めてかけがえのない愛弟子にエールを送りつつも、時には指導選手を素直に褒め称えることも忘れてはならないと話した。
「彼(アガシ氏)は32歳になってテニス選手として、22歳の時よりもさらに良くなりたいと思っていた。今の世代の選手は、自分が何歳であっても、前の世代の選手たちが改善を図る姿を見ることができた。
それはヤニックがやるべきことでもある。だから彼は確実にまだ良くなれると思う。とはいえ我々は、称賛すべきところは褒め称えなければならない。彼は今、素晴らしいテニスをしている」
ケーヒル氏の下で圧倒的な実力を身に付けつつあるシナー。今後も記録と記憶に残る選手になるための歩みを着実に進めていってほしい。
文●中村光佑
【動画】シナー対ディミトロフの「マイアミ・オープン」決勝ハイライト
【PHOTO】シナーが全豪オープンで悲願の四大大会初優勝!試合翌日のチャンピオンフォトセッションを厳選してお届け!
【連続写真】ムチのように関節を柔らかく使ったシナーのフォアハンド「30コマの超連続写真」
マイアミOP初優勝のシナーをコーチのケーヒル氏が称賛!「彼は確実にまだ良くなれる」とさらなる期待を込める<SMASH>
THE DIGEST 2024/04/02 17:37