相続、それはいつか必ずやってくる。『サンキュ!』読者モニター300 名(※)のリアルな体験とお金のプロが見てきた事例のなかから、とくに多かったモメごと&トラブル集。どれも、まったくひとごとではない……。

<教えてくれた人>
円満相続税理士法人 相続専門税理士 桑田悠子さん
祖父が亡くなったときに相続の大変さを痛感し、「困っている人の役に立ちたい」と相続専門の税理士に。X(旧Twitter)やインスタグラム、TikTokで相続に関するお役立ち情報を発信中。趣味はサウナと料理。

※『サンキュ!』モニターアンケートより(n=300/2023年12月実施)

1.私は介護で苦労したのに、他のきょうだいより多く遺産相続する権利はないって…

介護の苦労が報われる法律はないのです……。

「貢献度に応じて多く相続できる“寄与分”という制度はあるものの、実際は認められないケースがほとんど。折り合いがつかずに調停にもつれこむケースも多いです」。


●介護は私に丸投げで遺産だけ持ってくの?
【VOICE】
「東京に世帯を持った兄は父の介護をいっさいせず。なのに実家は父と兄の名義。財産を兄がほぼ持っていくのは納得いかない!」(Mさん・48歳)

2.きょうだいで不動産を相続どうやって分けるの?

分けられない、売れない、処分したくても費用がかかるなど、不動産の相続はなにかと問題が起きがち。「安易にきょうだいで共有名義にすると、それぞれの配偶者や子に名義が移っていくため、あとあと厄介です」。


●現金と違って、不動産の相続はかな〜り厄介
【VOICE】
「夫の実家は細い道の奥にある家、築56年のボロ家。誰も住まなくなっても重機が入れないので壊すのは難しそう」(Aさん・42歳)

3.父からの口約束の遺言は無効だった…

言った、言わないは相続争いに発展する引き金に。また、「いくら“約束していた”と主張しても、口約束は証明するのが困難。遺言書がない場合は、相続人全員との話し合いで遺産分割協議書をつくるしかありません」。


●言われただけじゃ効力なしって誰か最初に教えて
【VOICE】
「兄とモメたくなくて、親に遺言書を書いてほしいと頼んでるのに聞いてくれない。自己流で書いた遺言書は効力がないらしいのも心配」(Mさん・49歳)

4.財産や借金のことを聞こうと思っているうちに、親が認知症になっちゃった

認知症になると、財産の確認が難しくなるだけでなく、遺言書を書いても無効になる可能性が高い(汗)。「本人名義の不動産の売却もできなくなります。また、たとえ介護のためでも親のお金を勝手に使うと、他の相続人とモメる原因に」。


●認知症になっちゃう前に確認しとくんだったー
【VOICE】
「母があれよあれよという間に認知症になって亡くなり口座も保険もわからず困った。ようやくメモを発掘したものの、それで全部かは今も謎」(Tさん・45歳)

5.親が亡くなって財産を相続するつもりが、負の財産(借金)があった

遺産はプラスのものだけでなく、借金などマイナスのものも。「亡くなってしばらく経ってから督促状が届き、初めて気づくケースも。放棄はできますが、ルールがあるため気をつけないと借金を背負うことに」。


●ヒッ!お父さんってばこんなに借金あったの?
【VOICE】
「母と離婚した父には借金がありそうだけど20年以上疎遠。今後父が亡くなり、知らないうちに私が借金を背負うことになったらどうしよう」(Eさん・36歳)


参照:『サンキュ!』2024年5月号「親&きょうだいとモメない相続」より。掲載している情報は2024年3月現在のものです。
編集/サンキュ!編集部