ご飯に卵、ネギ、あとはお好みの食材を入れて炒めるだけで完成する「チャーハン」。シンプルな料理ではありますが、それゆえにちょっとした工夫が味を大きく左右することも。また、飲食店のような味にするためには、それ相応の設備が必要と言われることもあります。

今回の記事では、数多くの町中華に訪れ、さまざまなチャーハンを食べてきたライターの増田さんに、一般家庭の火力でも劇的に「チャーハン」がおいしくなるテクニックを教えてもらいました。

溶き卵ではなく目玉焼きから「チャーハン」をつくれば劇的に変わる!?

とある町中華のチャーハンがとてもおいしいく、定期的に通っていたことがありました。そのお店はカウンターの席に座ると厨房で「チャーハン」をつくる様子がよく見えたので、いつもなんとはなしに見ていたのですが、独特なポイントがあったのです。

それは「チャーハン」をつくるときに溶き卵を使うのではなく、まずは目玉焼きをつくり、そこへご飯を投入するというもの。あるとき、なぜ溶き卵ではなく目玉焼きなのかを店主に聞いてみました。するとこんな答えが返ってきました。

「溶き卵だと卵の旨味は1種類。だけど、目玉焼きにすると黄身と白身の旨味が2種類味わえるんだよ」。

それを聞いて、自宅で「チャーハン」をつくるときに同じようにやってみたところ……これがいつも自分でつくるのと比べて、とてもおいしかったのです。以来、わが家ではいつも目玉焼きから「チャーハン」をつくっています。

今回はそこからさらに筆者がアレンジを加えたり、べつの町中華の大将から得た知見を活かしたりしてたどり着いた、劇的においしい「チャーハン」のつくり方を紹介します。

ポイント1:“劇的”な違いを味わいたいならシンプルな材料で

「チャーハン」の具材は何を入れてもかまいません。しかし今回はシンプルなおいしさをわかってもらうために卵、冷凍のご飯茶碗1杯分、ネギだけを使いました。冷凍ご飯は電子レンジで温めて、ネギは刻んでおきます。

ポイント2:熱したフライパンに卵を割り入れます

熱したフライパンに卵を割り入れます。このとき、塩コショウをして卵に味つけをするのが重要。白身に火がとおり、黄身が半熟な状態になったら飯を卵の上にのせます。

今回は電子レンジで温めたものを使いましたが、炊きたてのものでもOKです。ただし、冷たいご飯だとうまくいかないので注意してください。

ポイント3:目玉焼きを切るように混ぜ、焦げる一歩手前まで炒める

目玉焼きを切るようによく混ぜながら炒めます。中火でよく炒めてください。町中華では火力があるので炒める時間は短くていいのですが、一般家庭では火力がないぶん長く炒めます。ポイントとしては焦げる一歩手前まで炒めます。フライパンを煽る必要はありません。木べらなどでよく混ぜながら炒めてください。

ポイント4:最後にネギを入れ、鍋肌へ醤油を垂らします

焦げる一歩手前まで炒めたら、ここでようやく刻んだネギを投入します。続けて鍋肌から醤油を適量足らしよく混ぜて、最後に胡麻油をかけたら完成です。

茶碗などに入れて形を整える場合、胡麻油は茶碗に塗りつけ、そこへ「チャーハン」をギュと入れるとうまくお皿に落ちてくれますし、香りもよくなります。

目玉焼きは「テキトーにつくる」のもポイント?

溶き卵ではなく目玉焼きから始めると黄身と白身の旨味が両方味わえると冒頭に書きましたが、火のとおし具合によっては、少し焦げた白身やほとんど生の黄身などいろいろな状態になるほうがおいしくなります。ですから、あまりきっちりと目玉焼きをつくろうとせず、ある程度テキトーにつくるのもポイントと言えるかもしれません。

とても簡単なひと工夫ですが、劇的においしくなりますので、ぜひ試してみてくださいね。


■監修・文/増田剛己
WEBや雑誌などで散歩関係の記事を書いているフリーライター。主な著書に『歩考力』(ナショナル出版)、『思考・発想にパソコンを使うな』(幻冬舎新書)などがある。

構成/サンキュ!編集部