今年、創業から半世紀という節目を迎えた4×4エンジニアリングサービス(以下、4×4ES)。同社がこれまで掲げてきたスタンスは「クロスカントリーカーの走破性を更に高める事」だ。そのポリシーを忠実に反映したのが、類稀なる耐久性を実現したアルミホイール「ブラッドレーV」で、今なお多くのユーザーから愛され続けられており、その人気はもはや伝説的とも言えるだろう。そのアルミホイールと並び、同社の顔と言えるのが、ノーマルよりもリフトアップしオフロード性能を高めた「カントリーサスペンションキット」だ。
 前述した通り、ノーマルよりもオフロード性能を重視している事から、これまでランドクルーザーやジムニーといった「本格四駆が好きなマニア向け」専用というイメージが定着してしまったのは事実だ。
 そんな既成概念を払拭し、もっと幅広いユーザーにカスタムの楽しさ、運転することの面白さを知ってもらおうと白羽の矢を当てたのが、D:5だ。スプリングの交換だけで車高をアップするのではなく、ショックアブソーバーの長さや減衰力次第で、乗り心地は大きく変わってしまう。特にD:5の場合は平日と休日で、乗車定員や走る路面状況が全く異なってくる。それを加味した上で、カントリーサスペンションは開発されており、無闇と車高をアップするのではなく、ノーマルから25㎜リフトアップした「ちょい上げ」というスタイルで設定。人によって物足りなく感じるかもしれないが、これにルーフキャリアやタイヤサイズを変更しても、ギリギリ2.1mの立体駐車場に入場可能。バランスの良さだけでなく、実用性にも配慮した仕様と言える。
 ちなみに4WD用のサスペンションではショックアブソーバーの伸び縮みを変化させ好みの乗り味に調整できる「減衰力調調整式」を採用したものが多い。ビッグカントリーサスペンションも、リヤショックにはダイヤル調整式の機構を採用するが、フロントショックはエンジンルームの中で切り替える必要があり、正直手が届かない。そのため手動で調整するのでなく、ショックの伸び縮みするスピードを感知したら瞬時に最適な減衰力に切り替えてくれる「HLSバルブ」を搭載。半世紀の実績だけでなく、そこに新しい思想や構造を積極的に採用する。4×4ESの製品は、まだまだ進化し続けて行くだろう。

◆カントリーサスペンションキット デリカD:5専用 約25㎜リフトアップ

ミニマムな構成で最大限に効果を発揮する渾身のカンサス!

4×4エンジニアリングサービスのチューニング手法は「必要最小限の構成で、大幅に走行性能を上げる」というもの。今回のデリカD:5用のカントリーサスペンションキットについても、ルックス・走行性能をきっちりと向上させつつ、必要以上にコストをかけない絶妙なパッケージングだ。この約25㎜のリフト量を超えるとメンバーダウンなどの追加装備が必要となり、スタビのリンクセッティングも変わってくる。クオリティは、純正オプションに採用されても良いと思わせるほど、オールラウンドにレベルが高い。

スプリングの交換や、スペーサーを組み込めば確かに車高はアップする。だがショックを交換しないと常に伸びた様な状態となる。大きな段差を超え車体が浮き上がろうとした時にショックが「伸びきって」しまい、不快な音や衝撃が発生する。それを回避し、上質な乗り心地や安定したハンドリングを手に入れたいなら、スプリングとショックをセットで交換する必要がある。ビッグカントリーサスペンションキットは、ここの性能はもちろん、相性まで考慮して開発されているのである。
フロント20〜25㎜/リア25〜30㎜という約25㎜アップのオリジナルコイルは、初期の乗り味はしなやかだが、中間ではコシのあるフィーリング。スポーツ走行における踏ん張り感も強く、ワインディングもしっかりとこなしてくれる。リフト量の高さを感じさせない安定感は、パッケージングのレベルの高さを感じさせるもの。純正からブラッシュアップした乗り味を求めるユーザーに最適と言えるだろう。
グレードや乗車定員によってリフトアップ量は異なるが、ノーマルから1インチ(約25㎜)リフトアップした仕様となっている。ちなみにデモカーに装着しているブラッドレーVのインセットは29㎜なので、出来れば構造変更が不要な8〜9㎜ワイドのフェンダーガーニッシュを追加するのがベターだ。

フロント

大きな衝撃にも、小さな衝撃にも対応し、最適な減衰力に調節してくれるHLSバルブを搭載。1年の殆どはサマータイヤだが、冬はスタッドレスを装着する人は非常に多い。タイヤの柔らかさは乗り心地やハンドリングに直結するため減衰力の調整が必須と言えるが、フロントに関してはそんな調整は不要と言えるだろう。

リア

リヤショックには、オーソドックスなダイヤル式の減衰力調整機構を装備。季節による調整はもちろんだが、普段の通勤と荷物を満載したキャンプとでは、全く挙動が異なる。そんな時こそ減衰力の調整を行なうべきだ。快適で安定感のあるハンドリングが得られると同時に、同乗者は快適な乗り心地を実感する。せっかく備わっている機能は、切り替えてその違いを実感して初めて意味がある。
コイル&ショックのほかに、スタビライザーリンクが今回のキットには同梱されている。このリンクの長さが適正でなければ、ストロークのスムーズさが無くなり、不快なロールが生まれたりする。実はサスペンションキットの味付けとして、かなり重要なアイテムだ。

乗り心地と操縦安定性という相反する性能を両立するカントリーサスペンション

ON ROAD

オンロードを走り出して真っ先に感じたのは、操舵時の剛性感がアップしている事。ノーマルのD:5は、ミニバンでありファミリーカーであるので、どうしても乗り心地を重視している。確かに不満は全くないが、もう少しスポーティさが欲しいと思うユーザーは多いだろう。またコーナーが連続するようなシーンでもロールがしっかり抑えられているので、非常にスムーズな印象。運転が上手くなったように感じられるほどで、愛車で出かけるのがもっと楽しくなる事間違いなし!パパはもちろん、家族全員が笑顔になれる。そんなサスペンションと言えるだろう。

OFF ROAD

25㎜リフトアップしてもノーマルと大きな違いはないのでは?多くの人がそう思うかも知れないが、河原などではこのわずかな違いでボディをヒットさせずに済む。また1インチリフトアップするだけで1サイズ大きなタイヤが装着できるので、カスタムの幅が広がる。オフロードを走ってみると、細かな振動をHLSバルブがしっかり吸収するので乗り心地の良さが際立つ。またスプリングが踏ん張る事で、駆動力がしっかりと路面に伝わるのも実感。乗用車では決してみることのできない世界をD:5なら体感できるが、カンサスを装着すれば更にその先までD:5が誘ってくれるだろう。

4×4エンジニアリングの全てが揃うショールームが完成!

 2023年の7月より、名古屋市中川区に本社機能を移転した4×4エンジェリサービス。最大の目的は「雑誌やインターネットという2次元の世界でしか見られないデモカーを、リアルに見て、体感して欲しい!」という思いを実現するために、ショールームを開設した。
 ショールーム内にはデリカD:5を始めとする各デモカーが展示されており、スタッフの手が空いていれば同乗試乗が可能かも。また現行モデルはもちろん、ブラッドレーの歴史を感じるヘリテイジモデルも展示しているので、同社がいかに長く深く4WDと接して来たのかが分かる。他にもカスタムパーツだけでなくアパレルやグッズの販売も実施している。「カスタムパーツを購入するのは思い切りが必要だけど、Tシャツやカラビナ型のキーホルダーも販売中なので、気軽にお越しください」とスタッフの木村さんは語る。
 ショールームの営業は基本的に平日で、ホームページで事前にチェックしておこう。またイベントでデモカーが不在になることもあるので、お目当てのデモカーのスケジュールを確認しておいた方が良さそうだ。なお4×4エンジニアリングではオンラインショッピングサイトも開設中。QRコードからアクセスできるので、遠方の方や営業時間内に行けない人は、こちらも活用してみよう!

現行からビンテージモデルまで、様々な4WDを一同に見学可能。ただ展示するというよりは、パーツを実際に見てもらうことで、その機能や効果がユーザーに伝わりやすいからだ。駐車場を完備しているが、電車で向かう場合は名鉄・山王駅から徒歩5分なので、アクセスも良好だ。
広々としたショールームには、デモカーだけでなくパーツも展示中。「ホイールの色味は自分の目で確認したい!」と思っている人は、見に行く価値があるだろう。ブラッドレーシリーズやAir/Gシリーズはもちろんのこと、今では絶版となったモデルも展示中。4×4ESとブラッドレーの歴史を垣間見ることができる、貴重な空間でもある。ちなみに入場は無料。気になるパーツがあるのなら、是非足を運んで開発者のリアルな声を聞いてみてはいかがだろう?
  • 4×4エンジニアリングサービス
  • 所在地:愛知県名古屋市中川区広川町1丁目1番2
  • Tel:052-715-4411
  • 営業時間:平日10:30〜18:00 土曜日:10:30〜17:00
  • 入館可能曜日:月曜〜日曜日
  • HP: https://www.4x4es.co.jp/

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