誰しも一度は願う、「もっと自分らしく自由に生きられたら」という思い。しかし中には、常識に縛られず人生を楽しむ人たちが世の中にはいる。

【映像】“落ち武者”姿→“ちょんまげ”姿になる様子

 「目立つのは大嫌い。マッシュやツーブロックと同じで、ただの髪型。好きだからやっているだけ」

 こう話すのは、ちょんまげ頭がなんとも神々しい井出雄斗さん(23)。「こうではないといけない」という先入観や同調圧力をどう断ち切ったのか。『ABEMA Prime』で話を聞いた。

 井手さんは20歳の時に地毛でこのスタイルにし、「外見に縛られない生き方」がポリシー。人通りの多い渋谷でも目立つが、「何も気にならない。渋谷にはもっといろんな人がいる」と話す。

 ちょんまげにした経緯は、「趣味的に和服を着ていた。いろんな髪型を試して、ピンクや緑、虹色にも染めていたが、結局似合うのはちょんまげだ」と、行き着いたものだと説明。ヘアカタログは「浮世絵。写真だと一番新しくて幕末」で、瓶付油は特注品だという。

 武士の精神などに興味はなく、井出さんは「格好だけ」とキッパリ。「家に帰って疲れていたらこのままバタッと寝てしまう」「ちゃんとお風呂に入って寝る時は浴衣に高枕だ」。

 家族の反応については、「こいつはこうだろうと諦めている。ちょんまげにしたぐらいでは驚かない」、周囲の人は「お金や“あなたがタイプ”と外見で寄ってきた人たちはバッと離れていった。前々から中身を見てくれていた人たち、本当に付き合いのある人たちは『君を見た目で判断していない』と言ってくれる」と明かす。

 プライバシーや肖像権とは無縁、外国人に喜ばれる、まげを解いた時の「落ち武者」感、夏は頭部を「まげ焼け」する、などのちょんまげあるあるもあるそうだ。

 井出さんは現在、沖縄料理屋でアルバイトをしている。「下はバイト先のユニフォームで、頭はこのまま。お客さんも意外とスルーだ。先日、『え、ちょんまげ?気が付かなかった』と言われて、普通の髪型と想定してフィルターをかけて見られている」。面接時はちょんまげを先に伝えていたことで、何も問題はなかったという。

 一方で、他人に不快感を与えるのはご法度で、TPOは守っている。葬式などではかつらを着用する、友人と遊ぶ時は注目を集めて迷惑をかけないよう洋服も着るということだ。

 そんな井出さんの主張は「外見をぶち破れ!“常識”に縛られすぎるな!」「自己表現はもっと自由でいい。先入観や同調圧力を疑うべし!」というもの。

「端的にまとめると『常識を疑ってほしい』。『こういう見た目をしている人はこうだ』と言うことが古い時代に来ているのではないか。“多様性”という言葉の通り、いろんな人が自由に輝くものがあっていいと思う」

 恋愛ができない、仕事を見つけづらいなど、自分らしさが生きていく壁にもなっているが、「得たもののほうが大きい」と語る。

「恋愛など具体的に失ったもの、諦めたものはいっぱいある。しかし、社会的に失ったものはない。あんな格好をしているのにちゃんとしているんだとか、考えていることは意外とまともだというギャップで良い人に見てもらえる」

(『ABEMA Prime』より)