ドライバーのヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーでも、最新ギアを使いこなせるのか? ベストスコア「67」の元競技ゴルファーでロマン派ゴルフ作家の篠原嗣典が実際にコースに持ち込んで検証しました。




【注目ポイント】
ブリヂストンスポーツは、2024年4月5日に『245MAX』アイアンを発売。近年のブリヂストンスポーツには、アイアンの名称に一定の決まりがあります。『245MAX』に当てはめてみると、頭の二桁の「24」は2024年モデルという意味で、その後ろの「5」がタイプの区分になります。「0」がマッスルバック、「1」「2」はツアーアイアンのセミキャビティとキャビティ、「3」が一般のゴルファー用で、ぶっ飛び系アイアンなどにつけられていました。「5」は、初めての分類です。よりやさしいアイアン、ということのようです。

“カーボンで実現する【MAXやさしい】高機能アイアン”というコピーです。見た目が、ガラッと変わっています。ポケットキャビティで、色々な素材を複合しているように主張しているのです。注目すべきテクノロジーの一番目は、「カーボン コア コンポジット」。高強度HSメタル「X37」を採用したフェースを1.85mmまで薄くして、補強するように裏面にカーボンを貼り付けている構造です。高反発は飛距離性能に直結します。バックフェースのビスは、タングステンウェイトを止めるものです。このウェイトで、低重心と後方重心を両立させています。三つのビスの真ん中は、「サスペンションコア」。裏からフェースを押す構造になっています。フェースの広い範囲が高反発エリアになる機能は、すでに実績があります。

ここで、情報通な人なら疑問があると思います。ブリヂストンスポーツは、昨年の秋にぶっ飛び系のアイアン『233HF アイアン』を発売しているのです。1年もしないで、同じようなアイアンを出すのは、どうしてなのか?僕も、同じように思いました。ちなみに、7番アイアンのロフトは、『233HF アイアン』が28度で、新しい『245MAX』は27度です。テクノロジーを比較してみてわかります。『233HF アイアン』は中空構造で出来ることを極めたクラブになっていて、新しい『245MAX』はキャビティ構造で出来ることを極めた同じベクトルにありながら違うアイアンということのようです。

両者を見比べていると、『245MAX』のヘッドのほうがより大きく見えます。やさしさのレベルを一段上げたということなのかもしれないと考えました。『MAX』ブームですが、やさしさのレベルのMAXですので、情報を統合すると納得できます。『245MAX』は、興味深いアイアンです。試打した日は、曇で、気温は16℃〜22℃。微風でした。使用したボールは、使い慣れていて、クラブの影響に集中できる『TOUR B X』です。


【打感・打ち応え】
『245MAX』の打音ですが、音量はやや控えめ。音質は硬質な音に濡れた鞭系の音が混じる気持ちが良い音。打ち応えは、カチッとしていますが、乗り感もしっかりしています。手応えは、やや敏感で、辛うじてフェースのどこにボールが当たったかがわかる感じです。


【弾道・球筋・スピン性能】
『245MAX』の弾道は、高めの高弾道です。曲げにくく、基本はストレート系の球筋になろうとします。スピンはまあまあかかるほうに分類されます。


【飛距離性能】
『245MAX』は、クラシックなロフトのアイアンよりほぼ2番手飛びます。キャリーとランの合計です。フェースのどこに当たるかで、転がり具合がかなり変わります。


【ロマン派ゴルフ作家語る】
『245MAX』は、全く新しいアイアンです。中途半端ではなく、思い切ってチューニングしていることに驚かされました。結論から書きますが、僕のヘッドスピード40m/sでも少し上がり過ぎて、ロスがある感覚がありました。40m/s未満のほうが、バッチリとハマる感じがします。『245MAX』は、非力なゴルファーを助けるためのMAXなアイアンなのです。

もう一つ、オプションのウェッジが、「50」「56」というロフト表示になっているのは、力を入れている証拠だと感じさせました。わけがわからないローマ字表記よりもわかりやすいので高評価です。このウェッジも、信じられないほどの高さに上がって、僕には逆に難しかったです。でも、パワー不足でボールが上がらないゴルファーには、素晴らしい結果を生むのだと思われます。改めて、アドレスビューは、グースが強いのですが、ネックの処理が上手く気になりません。そして、ヘッドが大きいです。というか、長いと感じさせます。

試打ラウンドを通して感じたのは、楽にハイボールが打てて、ショットは楽しめるということです。とにかく、芯に当てて、狙い通りにキャリーさせたボールが転がり過ぎてグリーンをオーバーしたり、それを警戒して打ったらエッジでバウンドして止まってしまったり、笑いが止まらないシーンが多々ありました。ミスショットしても、そこそこ行ってしまうから余計に、結果オーライを楽しむ余裕が『245MAX』を使い熟すコツだと思ったりしました。

ぶっ飛び系アイアンは、非力なゴルファーではなくて、そこそこ飛ばせるゴルファーが、より飛ばせるアイアンとして使っているシーンが巷では多いような気がしていました。『245MAX』は、そういうことではなく、本当に飛距離が必要なゴルファーだけが使えるアイアンとして開発されたのです。パワー不足でボールが飛ばないと苦しんでいるゴルファーに『245MAX』をオススメします。そこそこ振れるゴルファーには、昨年発売された『233HF アイアン』があるということなのです。謎は解けました。

『245MAX』のターゲットは、実はかなりの人数がいます。この層のゴルファーには、合うアイアンが少ないという事実があるからです。そういう常識を覆して、自分のために作られたような『245MAX』に出逢えるゴルファーは本当にラッキーだといえるのです。


【試打ギアスペック】
『245MAX』

ヘッド素材 #6〜P2/HSメタルX37+CFRP+タングステンウェイト
AW、SW/ソフトステンレス+CFRP+アルミウェイト
ロフト #6/24度、#7/27度、#8/31度、#9/35度、P1/39度、P2/44度、50、56
シャフト VANQUISH BSi for MAX(S)


【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」

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