『凡才』なりの“戦略”で頑張ってきました。

「最初は12〜13曲で想定していたのですが、1曲が3分前後と短いので、せっかくならばと3年間の集大成としてボリューミーなアルバムにしました」

今作には世界各国でバイラルヒットした「NIGHT DANCER」や映画『SAND LAND』の主題歌「ユートピア」など、自身の音楽活動の軌跡が詰まっている。映画やドラマだけでなく、CMソングなどのタイアップ曲もズラリと並んだ。

「『恋衣』(キリン午後の紅茶「さむいのに あたたかい ミルクティーのうた」キャンペーンソング)は、一般公募された短歌から歌詞のフレーズを作りました。また『Happy Order?』(マクドナルドタイアップソング)では、〈最後の1時間が死ぬほど長く感じる〉という、アルバイトをしている方なら必ず感じる気持ちを歌詞に入れたりと、遊び心を入れて作っています。タイアップ曲を作ると、新しいアイデアやボキャブラリーが出てくるので面白いです」

多彩なポップセンスでバラエティ豊かな曲を生み出してきた彼の、初のアルバムのタイトルは『凡才』。

「特別歌がうまかったわけでも才能があったわけでもない“凡才”の僕が、どうしたらたくさんの方に聴いてもらえるかを考えた曲が詰まっている」という意味で冠された。

「これまでの音楽活動において、自分に対する自信や信念があったわけではなかったので、まずはショート尺でTikTokに投稿して曲を聴いてもらったり、ファルセットだけで歌ったり、模索する中で『これだったら』というものを見つけ出した感覚です。なので、才能以外の戦略的な部分で頑張ってきたのかなと思います」

あらためて自分と向き合って音楽制作をした今作。タイトル・チューンの「BONSAI」には、こんな挑戦があった。

「1曲目の『BONSAI』は、19曲目の『Have a nice day』を作った“初期のimase”を意識した最新曲です。当時の音楽制作を自分なりに再構築して、知識や経験を得て進化した今の自分を見せられる曲になりました」

原点回帰と再構築。それは“imaseらしさとは何なのか”を自分に問う作業だったのでは?

「本当にその通りですね。やっぱり打ち込み感の強いベッドルームミュージックがimaseらしさだなと。『BONSAI』には〈5畳半の部屋〉という歌詞も出てきますが、僕が実家で制作をしていたときのような、狭い空間での響きや音質を意識して作りました。これまで自分について語るような曲はなかったんですが、あらためて自己紹介をするような曲になっています」

6月からはバンコク、香港、台北などを回るアジアツアー、11月からはホールツアーが開催される。

「最近は自分なりのライブのやり方を見つけて、より楽しめるようになりました。初めてライブに来るお客さんも含め、みんなが緊張しない一体感と多幸感溢れるポップなステージを届けられるように意識しています。アジアツアーでは、美味しいものを食べるのも楽しみです(笑)」

1st Album『凡才』。「NIGHT DANCER」など全19曲収録。【初回限定盤(CD+BD/DVD)】¥4,950/¥4,400 BD、DVDにはライブ映像などを収録。副音声付き。【通常盤(CD)】¥2,750(ユニバーサルミュージック)

イマセ 2000年生まれ、岐阜県出身の新世代アーティスト。音楽活動開始からわずか1年でTikTokでバイラルヒットを生み、’21年12月にメジャーデビュー。国内外で活躍の場を広げている。

※『anan』2024年5月22日号より。写真・野呂知功(TRIVAL) ヘア&メイク・向井大輔 取材、文・上野三樹

(by anan編集部)

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