「UNIVAS AWARDS 2023-24」にプレゼンターとして登壇

 一般社団法人大学スポーツ協会(UNIVAS)が、3月11日に都内で開催した「UNIVAS AWARDS 2023-24」。大学スポーツの発展に貢献した学生アスリートやスポーツに関わる学生、指導者、団体が全13部門で表彰された。昨年度、学業との両立を図りながら競技面での成果をあげた女子学生アスリートに贈られる「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」優秀賞に選出されたフィギュアスケートの三原舞依(シスメックス)が、今度は同賞のプレゼンターとして登壇。自身も甲南大学大学院に通うなかで、文武両道を目指して歩んできた道のりを振り返った。

 2017年と22年の四大陸選手権で金メダル、22年グランプリファイナル優勝とフィギュアスケート女子シングルの第一線で長年活躍する三原は現在、甲南大学大学院修士課程2年生。社会科学研究科でアスリートの心理学などを研究している。24歳となった今も、スケートと学業を高いレベルで両立する生活を送っているが、その原点については表彰式内でこう明かしている。

「私は9歳の頃にフィギュアスケートに出会って、小学生、中学生、高校生、大学生、そして大学院生である現在も競技を続けています。小さい頃からご指導いただいている私のコーチから、文武両道を目指して何事にも全力で取り組もうという素敵な教えをいただいて、現在も小さい頃から続けてきたフィギュアスケートと学校の両立を目指して、すごく密度の濃い素敵な日々を過ごすことができています」

 神戸市出身でジュニア時代からフィギュアスケートの才能を開花させると、シーズンを通して国内外の多くの大会に出場。日々のトレーニングを含めて多忙を極めたが、三原は小学生の頃から空いた時間を無駄にすることなく勉強に励んだ。

 限られた時間で高い集中力を発揮することは競技面にも好影響を与え、日本女子のトップスケーターの1人へ駆け上がると、2018年に甲南大経営学部経営学科へ進学。「何事にも全力で取り組み、スケートだけしかできない大人になるのではなく、いろいろな知識を持った人になってほしい」というコーチからの教えを胸に、迷うことなく決めたという。

「大学時代は専門の知識や社会に向けてすごく深く学ぶことができ、そして大学生アスリートとしては、“学生のためのオリンピック”と言われているFISUワールドユニバーシティゲームズで2連覇をすることができました。今まで本当にたくさんの大変なことや大きな壁があったのですが、そのたびに私の近くにいる先生方や家族、友だち、そしていつも温かく応援してくださる皆様がいてくださったからこそ、今の私がいて、乗り越えてくることができました」

感謝の思いを「これからのスケート人生で表現したい」

 スケートでも学業でも尽きることのない三原の探究心。21年12月には、SNSで甲南大大学院に合格したことを明かし、現在もトップスケーターのまま学業との両立を果たしている。

「本当に研究したいという思いもすごく強いので、深いところまでしっかり、いろいろな論文を読みながらスケートとの両立をしているところです。やっぱり、まだまだたくさんの情報量があるので、それをしっかり頭に入れながら、自分の悔いの残らない、良いものができるようにしたいと思っています。本当に今はいろいろなことを知る段階で、これから先はまだ長いなって」

 選手としては今シーズン、昨年9月に右足首を疲労骨折した影響もあり、満足のいく結果を残せなかったが、見据える先にはもちろん、2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪がある。「感謝の思いを、これからのスケート人生にしっかり込めて表現していって、スケーターとしても、人としても素敵な人になれるように努力を続けていきたい」と抱負を語った三原は、大学院生として活動できている現状に「感謝」の2文字を繰り返した。

「20歳を超えてから数年が経った今、競技を長く続けることの難しさや、いろいろな面で大変なこともあるんだなということを感じることができていて……。大変なことを乗り越えた先に良いことがあると自分に言い聞かせながら過ごしているんですけど、(自分より)もっと大変な方々もたくさんいますし、スケートをしたくてもできない方もいるかもしれないなかで、自分はスケートをさせてもらっていて、大学院にも通えるという環境に感謝をしています。自分1人では絶対にここまでは来られていないので、その感謝の思いをスケートでしっかり表現しようと思いながら、大学で学んだこともこれから活かせるように頑張っていきたいと思っています」

 9歳の時から始まった、スケートと学業を両立させる「日々のルーティン」。リンクに立てる日常に感謝をしながら、三原は今日も自然体で大学院生スケーターの道を歩んでいる。

(THE ANSWER編集部)