3日に就任発表、7年ぶりの復帰

 日本ハンドボール協会は3日、パリ五輪に出場する男子日本代表の監督にバルセロナ監督のカルロス・オルテガ氏(52)の就任を発表した。オルテガ氏は16年から17年に日本代表監督を務めており、7年ぶりの復帰。バルセロナとの契約が26年まであるため、兼任での契約はパリ五輪終了までとなる。

 日本代表は昨年12月のパリ五輪アジア予選で36年ぶりの自力での五輪出場を決めたが、17年から指揮をとるダグル・シグルドソン監督(50)が2月に辞任。すでに次期監督候補にあげていたオルテガ氏と交渉し、所属するバルセロナが就任を認めたことでこの日の会見に至った。

 契約は4月1日からだが、バルセロナでのリーグ戦は5月25日まで。一昨年優勝で昨年も3位に入った欧州CLは現在8強で、準決勝以降が集中開催されるファイナル4に残れば、6月9日まで公式戦が続く。会見した荷川取義浩強化育成本部長は「なるべく早く来てほしいが、日程は未定」と説明。選手選考にかける時間もなく、合流後すぐに合宿となる可能性が高い。

「選考合宿に参加してもらえれば」と荷川取本部長は話したが、スペインとの距離も遠く現実的には難しい。その場合も選考合宿をオンラインでつないだり、日本のスタッフが映像を送るなどして対応。「日本のことは分かっているし、大丈夫だと思う」と同本部長は信頼を込めていった。

 この日、オンラインでスペインから会見に参加したオルテガ新監督は「日本代表を率いることができるのは誇り」と話し、パリ五輪に向けて「狙うのはタイトル。仮に取れなくても、話題になるようなチームを作りたい」と意欲もみせた。前回16年1月の就任直後にはアジア選手権で韓国を破って3位に食い込むなどで発揮した手腕。その再現を今度は世界で目指す。

 基本を徹底しながら指示を最小限にし、選手の自主性を尊重したシグルドソン前監督に対し、規律に厳しく細かな指示で選手を動かす情熱家のオルテガ監督。アイスランド人のシグルドソン前監督とスペイン人のオルテガ監督は性格も指導方法も対照的。それでも、1か月しかない準備期間を「タフな仕事」といい「時間がないので、前任者のハンドボールを踏襲しなければならない部分はあると思う」と慎重に話した。

 7年間の間で日本代表は急成長した。欧州で活躍する選手が増えるなど個々のレベルも飛躍的にアップしている。前回オルテガ監督が指揮した日本代表からは大幅にメンバーも変わる。「いい選手が増えてきている。そのチームで戦えるのが楽しみ」と新監督。荷川取本部長は「チームが一気に化ける可能性もある」と期待を口にした。(荻島 弘一)

(THE ANSWER編集部)