Q 北海道新幹線が開業したのはいつだっけ?

 A 2016年3月、新青森―新函館北斗間(約149キロ)がまず開業した。本州とつながる高速鉄道は観光客を呼び込む起爆剤とされたが、コロナ禍もあって乗車率はまだ25%前後で低迷中だ。思い描いていた効果は出ていない。残る新函館北斗―札幌間(約212キロ)の開業目標は30年度末としていたが、建設主体の鉄道・運輸機構は5月8日に、工事の遅れなどを理由に「極めて困難」と開業時期の先送りを決めた。札幌駅では南側に新幹線の高架橋をつくる工事などが進んでいるほか、中間にできる新八雲(仮称)、長万部、倶知安、新小樽(仮称)の4駅の駅舎はデザインが固まりつつある。

 Q 札幌まで延びれば、乗車率は上がるの?

 A 札幌―函館間は現在の3時間半が1時間13分になり、日帰り出張が容易になる。中間の住民は札幌に通勤・通学できるし、札幌市民はスキーやゴルフに手軽に行けるようになる。新幹線は大雪などで飛行機が飛ばない時の代替ルートにもなるので、乗車率は向上するとみられている。北陸や東北、九州などの整備新幹線も開業後は利用者が伸びているデータもある。

 Q 延伸の経済効果は?

 A 北海道の推計によれば、事業費の約1・7倍にあたる約2兆5千億円の建設投資効果や約19万7千人の雇用創出効果がある。交流人口の増加も見込まれており、建設期間と開業後30年間の税収の増加額は累計で約6700億円超になるとされる。開業時期が早いほど効果は大きくなる。

 Q 移動手段として飛行機に対抗できるの?

 A 北海道と本州の移動手段は、新千歳―羽田・成田の航空路線が「ドル箱路線」となっている。JR北海道は最高時速を320キロに引き上げて、5時間とされる札幌―東京間を「4時間半」に短縮することを目指している。空港までの移動時間を加味すれば「十分対抗できる」としている。

 Q 新函館北斗―札幌間はトンネルが全体の8割を占めるのはなぜ?

 A ニセコをはじめ多くのスキー場があり、降雪量の多い区間なので、安全に高速走行できるルートにしたからだ。ただ、鉄道・運輸機構によると、工事は難航しており遅れ気味だ。倶知安町―ニセコ町間の羊蹄(ようてい)トンネルでは工事が2年以上停止するなど、昨年6月段階で掘削が完了したのは17トンネル中6にとどまっていた。

 Q 札幌市が招致を目指していた冬季五輪・パラリンピックと札幌延伸の時期を合わせようとしたそうだね。

 A 26年大会を招致していた札幌市が途中で30年大会に切り替えた背景には、国家プロジェクトである五輪の開催都市になれば、新幹線の工事が前倒しで進むのではとの期待もあったとされる。しかし、23年末に30年のオリパラの招致は失敗した。今回の開業時期先送りには資材や人件費の高騰、建設業界の残業上限規制などもあったとされる。