神戸市立医療センター中央市民病院(中央区)は19日、がん患者に1年以上にわたって告知を怠る医療事故があったと発表した。

 病院によると、60代の男性患者が2022年8月に消化器内科で内視鏡検査を受け、大腸がんと診断された。

 しかし診断結果を説明する受診日に患者が来院せず、担当医は告知をしなかった。

 患者はその後、血液内科に定期的に通院していたが、告知はされないままだった。

 23年11月になってこの患者が別の疾患で入院し、脳神経内科の担当医がカルテを見て、がんの告知をしていないことに気づいたという。

 患者は大腸がんの手術を受け、現在は通院して治療を続けている。

 診断された当初はステージ1だったとみられるが、手術を受けたときにはステージ3だった。病院側は患者に謝罪した。

 病院では、診療予定の患者をリストで管理し、診療が終わったり、キャンセルがあったりした場合はリストから外し、未受診の患者だけを残す運用をしていた。

 だが今回は未受診にもかかわらず、この患者がリストから外されていた可能性があるという。

 今回のケースを受けて、病院は未受診の患者をリストから動かさないルールを改めて明文化した。医師個人の処分は検討していないという。(杉山あかり)