(3日、第77回春季千葉県高校野球大会準決勝 千葉英和0―9専大松戸=7回コールド)

 6点を失い、なおも2死一、二塁の三回裏。昨夏から強豪・専大松戸の3番を打つ中山凱(3年)に打席が回る。このピンチに千葉英和の黒沢一志(3年)が遊撃手からマウンドに入った。

 「絶対に抑える」と強気で入るも、強打者を前に怖さはあった。それでも負けじと投げた緩めのスライダーに中山のタイミングが合わない。「打ち取れる」。直感でそう感じた瞬間に、力みが取れた。その後、鋭いスライダーをはさんで、最後は再び速度を落としたスライダーで緩急をつけて三振に。ピンチをしのぎ、笑顔でベンチに戻った。「プロ注目の選手を狙い通りに抑えられた」

 ピンチでの内野手からの継投は中学生のころもあった。当時は三塁を守り、横の遊撃手が中央学院の颯佐心汰(3年)だった。

 2人とも継投要員。颯佐は最速148キロで、春の選抜でも野手と投手の二刀流で活躍し、U18日本代表候補に選ばれている。「今は球速的にも、注目度的にも颯佐の方が上」と話す。

 先日2人の休日が重なった日、颯佐の家で会った。「決勝で会おう」と約束したが、夏に持ち越しになった。千葉英和は今大会、4強に入り、夏の千葉大会のAシードを獲得。夏は中央学院と戦うのは準決勝以上で、となる。「颯佐と戦いたい。夏までに追い抜けるように、打撃も守備も投手も、妥協せずにやっていく」(杉江隼)