訪中しているクリテンブリンク米国務次官補(東アジア・太平洋担当)が15日、中国の馬朝旭外務次官と会談した。米中両政府が同日それぞれ発表した。中国外務省によると、中国側は今月11日に日米フィリピンによる初の首脳会談が開かれたことを念頭に、南シナ海への関与を深める米側に抗議の意を表明した。

 米中はブリンケン米国務長官が近く訪中することで合意しており、今回の会談では最終調整が行われたとみられる。

 日米比の3首脳は11日、南シナ海における中国の海洋進出に対する危機感を背景に、米国で初の首脳会談を開いた。自衛隊と米比海軍との共同訓練の実施など幅広い安全保障協力を打ち出した。中国外務省によると、15日の会談で中国側は、「中国周辺における一連の誤った言動、特に日米比が集って南シナ海情勢をかき乱すことに厳正な立場を表明する」として米側に抗議した。

 一方、米国務省によると、米側は会談で南シナ海情勢を念頭に、「米国や同盟国、友好国の利益と価値観を促進するために関与する」との姿勢を強調した。中東情勢や台湾問題、中国によるロシアの防衛産業への支援の問題や北朝鮮問題をめぐっても協議し、会談は「率直かつ建設的」だったという。会談には米国家安全保障会議(NSC)のベラン中国・台湾担当上級部長も同席した。

 また中国側によると、米中は各分野での対話と協力の促進についても協議した。米中対立が深まるなかでも、米中は昨年11月の首脳会談で、国防当局間などの対話を再開することで合意。その後、ハイレベルや実務者による協議を続けている。この日の会談でも、「各レベルでの交流を維持し、中米関係をさらに安定させ発展させることで合意した」という。(北京=井上亮、ワシントン=清宮涼)